研究課題/領域番号 |
18K11086
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研究機関 | 四天王寺大学 |
研究代表者 |
松本 珠希 四天王寺大学, 教育学部, 教授 (90248047)
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研究分担者 |
林 達也 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (00314211)
江川 美保 京都大学, 医学研究科, 助教 (50600061)
木村 哲也 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (60533528)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 月経前症候群 / 自律神経活動 / 心拍変動 / セルフモニタリング / 健康習慣形成 |
研究実績の概要 |
月経前症候群(PMS)は、月経前の黄体期に繰り返し出現する心身不快症状の集積である。PMSは思春期から始まり、女性の健康と社会生活に少なからぬ影響を及ぼすことも考慮すると、女性自身が心身の変化について認識するとともに症状をうまくコントロールし、QOLの維持・向上が図れるようなセルフケア行動をとることが必要と考えられる。 平成30年度は、女子大学生を対象に、PMSの発症頻度と症状の種類について調査をするとともに、PMSの重症度に影響を与える要因は何かについて探究した。本研究に参加した被験者は203名であった。月経前不快症状の評価はMenstrual Distress Questionnaire(MDQ)を用い、月経前に経験する46症状について、6段階で評価してもらった。また、被験者には、主観的健康感と主観的ストレスの程度を評価してもらい、加えて、就寝時間、睡眠時間、朝食の有無、主観的な食事の栄養バランス、運動習慣の有無についても回答してもらった。 MDQ46症状のうち、発症頻度の高い症状は、11症状(身体的症状7、心理・社会的症状4)であった。また、重回帰分析を用いて、女子大学生の月経前不快症状に影響を与える要因を探究したところ、従属変数として用いたMDQ総計に対し、5%水準で有意な独立変数は、主観的健康感と主観的ストレスであった。主観的健康感と主観的ストレスの程度により、203名の被験者を4群に分類したところ、自身を主観的に「不健康」かつ「ストレスあり」と評価したものは19名であった。このグループの女性では、月経前に経験する46症状の中で、より不快に感じ、その程度が中等度以上であったものは12症状あり、身体的症状に比べ、心理・社会的症状の種類が多いことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
月経周期性、月経中と月経前の不快症状の種類と程度、生活習慣、ストレス状態との関連について、データの収集と解析を行った。心拍変動解析プログラムは完成しているが、自律神経活動動態とPMSとの関連の検討、PMSを緩和する健康習慣形成プログラムの構築に予想以上の時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
PMSを緩和する健康習慣形成プログラムの実施については、前向き調査を行う予定だが、その実現に向けては、組織的な取り組みが必要となるため、共同研究者間の連絡体制を整えるとともに、必要であれば、マンパワーも確保する。また、パイロット実験で得られた結果については、常に共同研究者間で討議し、現行のプロトコールを見直しながら、被験者のリクルートシステムを構築し、早期のデータ収集を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学術集会にて研究発表を行い、PMSと行動変容関連の最新情報を収集する予定にしていたが、本研究におけるデータ収集と解析が予定通り進まなかったため、学会参加を見送った。結果的に、確保していた海外出張旅費を次年度に繰り越すこととなった。 今年度は、国際女性心身医学会(The Hague, The Netherlands)、国際婦人科内分泌学会(Firenze, Italy)にて研究発表を行うため、前年度繰り越し分と合わせた直接経費の一部を、海外出張旅費に充てる。また、国際学術誌への投稿料、被験者と研究補助者への謝礼金、外部委託の内分泌機能検査費、必要な物品購入のためにも使用する。
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