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2019 年度 実施状況報告書

発酵乳ホエーより単離したメラトニン合成を促進するペプチドの作用機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K11090
研究機関就実大学

研究代表者

坪井 誠二  就実大学, 薬学部, 教授 (50172052)

研究分担者 川上 賀代子  就実大学, 薬学部, 助教 (00505935)
守谷 智恵  就実大学, 薬学部, 教授 (60253001)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード発酵乳ホエー / グルタチオン / メラトニン合成酵素 / メラトニン / 睡眠 / アセトアミノフェン / 肝障害
研究実績の概要

我々は,現在までに睡眠ホルモンであるメラトニンを作り出す酵素serotonin-N-acetyltransferase が,内因性トリペプチドであるグルタチオンによってレドックス制御をうけることを明らかにしている.乳酸菌による発酵乳ホエーをラットに与えることにより,内因性メラトニン分泌リズムの位相調整又は振幅増強作用があることをみいだしており,この作用は発酵乳ホエー成分が細胞内グルタチオンレベルを上昇させ,メラトニン合成の律速酵素であるserotonin-N-acetyltransferase 活性を増強させていることによると考えている.
アセトアミノフェン を過剰投与すると肝臓中グルタチオンが枯渇するため肝障害が誘発されることが知られている.従って,細胞内グルタチオンレベルを維持することによりアセトアミノフェンによる肝障害が抑制されると考えられる.
今回,発酵乳ホエーのグルタチオン上昇作用を明らかにするため,APAP肝障害への影響について in vivo,in vitroにおいて検討した.マウスへのAPAP投与において,発酵乳ホエー群はコントロール群と比較し,急性肝障害の指標となるGOT活性の上昇が有意に抑制された.また,肝臓中のグルタチオン量はAPAP投与によって約5%まで減少したが,発酵乳ホエーの投与によりこの減少は有意に抑制された.次に,HepG2細胞のAPAP処理に対する発酵乳ホエーの効果を検討した.APAPの添加により細胞内の酸化還元状態の指標である還元型グルタチオン/酸化型グルタチオン(GSH/GSSG)比はコントロールの約半分になり,24時間後も酸化ストレスが負荷された状態であった.一方,発酵乳ホエーを添加した場合には,24時間後には元のレベルにまで回復していた.これらの結果から,in vivo及びin vitroにおいて,APAPによる細胞内酸化ストレスに対する発酵乳ホエーの保護作用が明らかとなった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

発酵乳ホエーの投与により細胞内グルタチオンが上昇することが,in vivo及びin vitroにおいても明らかとなった.この結果により,発酵乳ホエーによるアセトアミノフェン急性肝障害への抑制効果を明らかにすることが出来た.

今後の研究の推進方策

細胞内グルタチオン上昇作用の解析
(1) 抗酸化及びグルタチオン生成に関する遺伝子発現解析:ヒト肝がん細胞培養系に発酵乳ホエーを添加後,経時的に細胞を処理し①~⑥の項目について測定する.
① 細胞内グルタチオン濃度,② グルタチオン生合成経路酵素活性,③ グルタチオン生合成経路酵素遺伝子発現,④ 抗酸化ストレス関連遺伝子発現,⑤ システイン取り込み系遺伝子発現
(2) 酸化ストレス防御系 Keap1-Nrf2 経路の誘導解析:グルタチオン濃度を制御する転写因子(Keap1-Nrf2系)遺伝子発現について検討する.

次年度使用額が生じた理由

有効成分の同定に時間がかかり、作用機序の検討が出来なかった。2019年度残金及び本年度分と合わせた金額を、①有効成分の同定、有効成分の合成後、②細胞を用いて作用機序の解明に使用する。作用機序の解明として以下の実験を行う予定である。
(1) 抗酸化及びグルタチオン生成に関する遺伝子発現解析:ヒト肝がん細胞培養系に発酵乳ホエーを添加後,経時的に細胞を処理し①~⑥の項目について測定する.① 細胞内グルタチオン濃度,② グルタチオン生合成経路酵素活性,③ グルタチオン生合成経路酵素遺伝子発現,④ 抗酸化ストレス関連遺伝子発現,⑤ システイン取り込み系遺伝子発現
(2) 酸化ストレス防御系 Keap1-Nrf2 経路の誘導解析:グルタチオン濃度を制御する転写因子(Keap1-Nrf2系)遺伝子発現について検討する.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件)

  • [雑誌論文] 天然物由来の Nrf2 活性化因子2019

    • 著者名/発表者名
      守谷智恵,川上賀代子,坪井誠二
    • 雑誌名

      就実大学薬学雑誌

      巻: 6 ページ: 8-16

    • 査読あり
  • [学会発表] 米ぬか由来ペプチドの細胞内グルタチオン上昇作用を介した睡眠ホルモン合成酵素の活性化について2019

    • 著者名/発表者名
      橋本果奈,秋山智哉,川上賀代子, 守谷智恵, 藤田 明子, 川上晃司, 畑中唯史, 坪井誠二
    • 学会等名
      日本薬学会第139年会
  • [学会発表] 黄ニラ抽出物のアセトアミノフェン誘導肝障害抑制作用2019

    • 著者名/発表者名
      青野牧歩, 川上賀代子, 植田友香, 守谷智恵, 畑中唯史, 洲崎悦子, 坪井誠二
    • 学会等名
      日本薬学会第139年会
  • [学会発表] オリザペプチド-P60の抗酸化作用と細胞傷害抑制効果2019

    • 著者名/発表者名
      望月あやめ, 青木美磨, 守谷智恵, 川上賀代子, 藤田明子, 川上晃司, 下田博司, 畑中唯史, 坪井誠二
    • 学会等名
      日本薬学会第139年会
  • [学会発表] PC12細胞における米由来ペプチドのグルタチオン上昇作用と細胞傷害抑制効果について2019

    • 著者名/発表者名
      濱田帆野佳, 守谷智恵, 川上賀代子, 藤田明子, 川上晃司, 畑中唯史, 坪井誠二
    • 学会等名
      日本薬学会第139年会
  • [学会発表] 酒粕加水分解物の細胞内グルタチオン上昇作用2019

    • 著者名/発表者名
      川上賀代子, 新崎由樹, 守谷智恵, 花房 満, 畑中唯史, 坪井誠二
    • 学会等名
      日本農芸化学会2019年度大会
  • [学会発表] 白米ペプチドはNrf2の活性化を介して細胞傷害を抑制する2019

    • 著者名/発表者名
      守谷智恵,望月あやめ,川上賀代子,下田博司,畑中唯史,坪井誠二
    • 学会等名
      第72回日本酸化ストレス学会学術集会
  • [学会発表] 岡山県産農産物の抗酸化活性2019

    • 著者名/発表者名
      川上賀代子, 三原夏実, 守谷智恵, 畑中唯史, 坪井誠二
    • 学会等名
      第72回日本酸化ストレス学会学術集会
  • [学会発表] 黄ニラ抽出物の抗酸化作用メカニズムの解析2019

    • 著者名/発表者名
      川上賀代子, 三原夏実, 守谷智恵, 畑中唯史, 坪井誠二
    • 学会等名
      第92回日本生化学会大会
  • [学会発表] 米ぬか由来ペプチドの睡眠ホルモン合成酵素活性化作用およびそのメカニズムの解析2019

    • 著者名/発表者名
      守谷智恵,橋本果奈,川上賀代子,藤田明子,川上晃司,畑中唯史,坪井誠二
    • 学会等名
      第92回日本生化学会大会

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公開日: 2021-01-27  

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