研究課題/領域番号 |
18K11094
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山縣 憲司 筑波大学, 医学医療系, 講師 (00420084)
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研究分担者 |
柳川 徹 筑波大学, 医学医療系, 教授 (10312852)
蕨 栄治 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70396612)
正田 純一 筑波大学, 医学医療系, 教授 (90241827)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脂肪性肝炎 / 歯周病菌 / ゲノム解析 / 遺伝子改変マウス / 運動療法 |
研究実績の概要 |
中高度の肥満者ではNASHの有病率が高く,高度の肝脂肪蓄積や肝線維化が進行した症例が多い.NASHは「細菌性肝炎」とも称されており,細菌由来のLPSの血中濃度は高血値である.歯周病と診断されたNASH肥満者を対象に3ヶ月間の運動療法を実施した.体組成,肝脂肪蓄積,弾性度,Kupffer細胞の異物貪食機能,生体インピーダンス法により体組成(脂肪,骨格筋,骨)を測定する.Transient elastographyを使用し肝脂肪蓄積と弾性度(硬度)を測定した.また,造影超音波法によるKupffer細胞の異物貪食機能を測定した.さらに,運動実践は,肝ではKupffer細胞の異物貪食能とLPSクリアランスを増大させ,LPSによる自然免疫反応の活性化を抑止して肝障害を改善させる観察結果を得た.その結果,肝脂肪化と肝線維化の改善に並行しして,歯周病の口腔内病変が改善した.そこで運動実践による歯周病菌の細菌叢の変化を明らかにする目的にて,唾液よりゲノムDNAを抽出し,口腔内細菌叢のゲノム解析に着手した.口腔内細菌叢を次世代シークエンサーにて解析中である.また,唾液中エンドトキシン(1,3-β-D-グルカン,ペプチドグリカン)の測定を光学的方法により高感度に測定することに着手した.歯周病と運動習慣に関する介入研究は報告を見ない.現在,1)運動介入前後における口腔内細菌叢の変化, 2)生体側の病態変化について機能解析を実施中である.次年度では得られたデータより,NASHの肝病態へ影響を与える歯周病菌種を絞り込み,実験モデルへの感染実験へと繋げていく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
口腔内細菌叢のゲノム解析に時間を要しており,NASHの肝病態に影響を与えると考えられる歯周病菌の菌種の特定には至っていない.
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今後の研究の推進方策 |
口腔内細菌叢のゲノム解析を進捗させ,運動介入前後の変化,NASHの肝病態と照らし合わせることにより,NASHの肝病態へ影響を与える歯周病菌種を絞り込み,実験モデルへの感染実験へと繋げていく予定である.また,唾液中エンドトキシン(1,3-β-D-グルカン,ペプチドグリカン)やカルプロテクチン(好中球細胞質の主要蛋白であり,歯周病においても罹患部位でも増加が認められ,治療介入により減少する.カルプロテクチンは歯周病菌LPSのTLRを介したシグナル経路により好中球より放出される)の測定結果を加えて総合的に判断する.
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