研究課題/領域番号 |
18K11108
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
丸山 弘子 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (50129269)
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研究分担者 |
佐々木 徹 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (30158927)
川上 文貴 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (50511896)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / 概日時計 / インスリン抵抗性 / 高脂肪食 / アミロイドβ / タウ蛋白質 |
研究実績の概要 |
2018年度は5月よりアルツハイマー遺伝子導入(AD)マウスの作出を行い、9月より通常飼育群と概日飼育群に分けて6ヶ月間の実験を数回に分けて遂行している。概日飼育群は月曜日から金曜日まで週5日間は午前10時から午後4時までの6時間だけ餌を自由摂取させて、体重と餌の摂食量を調べた。土曜日は午前10時に餌を自由摂食させ、日曜日は午後4時に抜いた。群はさらに正常マウスとADマウスに分けて標準食(AIN-93)と高脂肪食(AIN-93に60%脂肪添加)を与え、全8群(5匹/群)で行っている。実験期間中は体重と摂食量を計測している。標準食と高脂肪食では摂食量に差は認められないが、通常飼育と概日飼育では概日飼育で摂食量の減少傾向が認められている。動物の行動については正常マウスとADマウスでの差と概日時計の変化による行動の変化についてUSB地震計(GID-SSS/U10x)を改良した震度計を用いて計測を行っている。正常マウスでは行動に周期的な動きが認められるが、ADマウスでは周期性がなく動きの強弱が激しいことが確認された。すでに一部のマウスは6ヶ月の実験期間を終了(2019年3月、4月、5月終了)している。また、グルコース(2g/kg体重)を投与して耐糖能試験を行いインスリン抵抗性について解析した結果は雄マウスでは有意な差は認められないが、雌マウスでは正常マウスに比べADマウスにおいて糖代謝が低下していることが認められた。脳での糖代謝を確認するために、2-[18F]fluoro-2-deoxy-D-glucose (FDG)の脳への取り込みの違いを正常マウスとADマウスで調べたところ、ADマウスの脳でFDGの取り込みが低下している結果が得られている。組織試料は解析のために-80℃で保存した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年度は5月よりアルツハイマー遺伝子導入(AD)マウスの作出を行い、9月より通常飼育群と概日飼育群に分けて6ヶ月間の実験を数回に分けて遂行している。概日飼育群は月曜日から金曜日まで週5日間は午前10時から午後4時までの6時間だけ餌を自由摂取させて、体重と餌の摂食量を調べた。土曜日は午前10時に餌を自由摂食させ、日曜日は午後4時に抜いた。群はさらに正常マウスとADマウスに分けて標準食(AIN-93)と高脂肪食(AIN-93に60%脂肪添加)を与え、全8群(5匹/群)で行っている。実験期間中は体重と摂食量を計測している。標準食と高脂肪食では摂食量に差は認められないが、通常飼育と概日飼育では概日飼育で摂食量の減少傾向が認められている。当初の計画では、1ヶ月と3ヶ月の期間についても計画していたが、当大学動物実験施設内でのマウスの飼育数に制限があり同時に開始することができず、時期をずらして実行する計画に変更している。
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今後の研究の推進方策 |
6ヶ月の実験期間が終了し試験試料が得られた後、各群における組織の一部は4%パラホルムアルデヒド・リン酸緩衝液にて固定しパラフィン包埋後、β42アミロイドとリン酸化Tau蛋白質の免疫組織染色を行い、アミロイド沈着の面積とTauタンパク質のリン酸化の程度を病理組織学的に比較検討する。また、[18F]FDGの取り込み結果と耐糖試験結果から脳におけるインスリン抵抗性について解析する。残りの脳、肝臓、腎臓、筋肉、顎下腺組織は-80℃に保存してあることから、凍結保存した組織より蛋白質を抽出し、器官時計(肝臓、腎臓、顎下腺)の時計遺伝子発現(Cer1・2, Per1・2, Clock, Bmal1)は組織をホモジナイズ後PCR法にて解析する。β42アミロイド、Tau蛋白質のリン酸化レベル(リン酸化サイト:Ser396, Ser404, Thr231,)、またTau蛋白質のリン酸化を誘導するGSK-3βについてもWestern blot法にて解析を行い検討する。β42アミロイド、Tau蛋白質のリン酸化レベルについては病理組織学的検討結果と比較検討する。短期実験については、マウスの作出を行っていることから準備が出来次第実験を開始する予定であるが、1ヶ月と3ヶ月については両期間の実験を遂行する必要があるかについては、6ヶ月実験の解析結果を見てから検討したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度においては、マウス用特殊飼料の形状が柔らかいことから、マウスが飼料を壊す現象があり餌の利用率が高くなり特殊飼料代に費用が嵩んだ。また、遺伝子改変マウスの作出に日数がかかり、実験の開始が遅くなり、組織の解析が2019年度にずれ込んでしまい、組織分析用費用の一部は2019年に持ち越すこととなった。2019年度は時計遺伝子、β42アミロイドやTau蛋白質の解析等を行うため、分析試薬が主な仕様品目となる。また、マウスの実験は継続することから、特殊飼料代も含まれる。
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