研究課題/領域番号 |
18K11108
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
丸山 弘子 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (50129269)
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研究分担者 |
佐々木 徹 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (30158927)
川上 文貴 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (50511896)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 概日リズム / アルツハイマー症 / 高脂肪食 / 血糖値 / アミロイドβ / タウ蛋白質リン酸化 / 時計遺伝子 / インスリン |
研究実績の概要 |
「運動変化について」飼育条件は明期8:00~20:00、暗期20:00~8:00の12時間サイクルで設定した。明期開始は動物の主観的時間の開始と考え ZT0と表す。3ヶ月間通常飼育で特殊飼料を与え、その後2群に分け通常飼育群は24時間自由摂食させ、制限給餌群はZT0~12までの給餌とした。給餌変更から3ヶ月後に小型地震計にて3 軸加速度を測定し運動量とした。通常飼育はZT12~0で運動し、制限給餌はZT23~1とZT7~19で2層性に運動する傾向が認められた。 「耐糖能試験について」摂食量に差はないが、通常飼育に比べ制限給餌では糖の吸収が低い傾向が認められた。また、標準食に比べ高脂肪食(HFD)で血糖値が高くなった。摂食時間の変更により、消化管での糖吸収率が低下する可能性がある。インスリン分泌量については雌雄ともに通常飼育では標準食に比べHFD群で分泌量が有意に増加したが、制限給餌では標準食とHFD群に差が認められなかった。また、通常飼育HFD群に比べ制限給餌HFD群では有意に減少した。 「Tau蛋白質リン酸化とアミロイドβ沈着への影響」雌雄マウスの正常群に比べAD群ではリン酸化陽性細胞数が増加しており、さらに通常飼育に比べ制限給餌群では全群でリン酸化の増強が認められた。アミロイドβの沈着については解析中である。 「ミクログリアへの影響」ミクログリア数は雌雄マウス正常群に比べAD群では有意な数の増加が認められた。標準食に比べHFD群で数の増加傾向が認められた。また、通常飼育ADに比べ制限給餌AD群が有意に増加していることが分かった。 以上の結果から、摂食時間が変化すると運動時間帯が変わることが分かった。また、通常飼育に比べ制限給餌飼育のAD群でTau蛋白質のリン酸化とミクログリアの数が増加している傾向が認められ、生活リズムの変化が脳の炎症に影響していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2年間でマウス実験は終了予定であったが、アルツハイマートランスジェニックマウスの作出に時間がかかったことで、3ヶ月延長している。それに伴い解析等も遅れが出ている。アミロイドβの解析については免疫染色までは終了していることから、イメージJにて面積等の解析を進める。また、2019年度末からのCOVID-19感染症による業務縮小のために、研究チームの体制が予定のように取れないことが生じてさらに遅れそうである。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験は6月までには全て終了することから、その後は、耐糖試験、概日リズムの変化による行動の変化、時計遺伝子の変動、アミロイドβやタウ蛋白質のリン酸化等について解析し、これまで積み重ねてきたデータに加えて概日リズムの変化、高血糖食とアルツハイマー症発症との関係を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が当初の計画よりも遅れていることから、使用予定の品目が次年度購入となる結果となった。
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