連続暗黒下で成長期雄ラットを低タンパク質飼料で4週間飼育すると、精巣重量やテストステロン濃度が低下するが、飼料にシスチンを添加することで精巣重量やテストステロン濃度が改善し、精子形成も促されることを報告してきた。また、生殖器の発達に対する連続暗黒飼育の期間を検討した結果、飼育2週目からテストステロン産生細胞である精巣のライデッヒ細胞の分化を反映するInsl3のmRNA発現量が低下することを昨年度に報告した。 今年度は、テストステロン合成や精子形成に関与する遺伝子の発現に関し、連続暗黒飼育の期間の面から検討した。その結果、コレステロール合成の律速酵素Hmgcr、外部コレステロールの給源となるHDLやLDLの受容体Ldlr、Srb1のmRNA発現量に連続暗黒飼育の影響はみられなかった。ミトコンドリアへのコレステロール輸送に関与するStar、Scp2、コレステロールの側鎖開裂酵素Cyp11AのmRNAの発現量にも連続暗黒飼育の影響はみられなかった。アンドロステンディオンからテストステロンへの代謝酵素Hsd17bは、連続暗黒飼育2週目から有意に低値を示し、テストステロン合成を抑制していることが示された。また、精子形成の支持細胞であるセルトリ細胞から分泌されるAbpのmRNAの発現量は、連続暗黒飼育2週目から高値を示し、精子形成に影響を与えている可能性が示唆された。
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