研究実績の概要 |
①ラットにおけるアントシアニン(AC)経口投与時の代謝物の確認。ラットにカシスAC(混合物、AC含量10%)を投与し、その尿中に排泄される代謝物を検討し、LCMSMSを用いた分析で、10種のフェノール性物質を同定できた。それは、4-Hydroxybenzoic acid, Protocatechuic acid, Gallic acid, ploroglucinol aldehyde, ploroglucinol acid, Ferulic acid, 3-(4-Hydroxyphenyl)propionic acid, Caffeic acid, Syringic acid, Vanillic acidであった。また、同様にLCMSMSを用いた分析でintactのACも確認できた。 ② LCMS/MS を用いた低分子フェノール類の微量分析系の確立。尿へのACと代謝物10種の添加回収試験を行い、サンプルの処理法を最適化することで、良好な回収率が得られ、ACと代謝物の尿中での測定系が確立できた。 ③動物実験用アントシアニン精製品の調製。動物実験の精製ACを、①に用いた10%ACを含むカシスAC混合物から調整を試みた。カシスに主に含まれる4種のAC, Delphinidin-3-glucoside, Delphinidin-3-rutinoside, Cyanidin-3-glucoside, Cyanidin-3-rutinosideをそれぞれ10g以上、高純度(ほぼ100%)で調製することに成功した。 ④ACの安定性の検討。ACの定量は、通常pH1~2の酸性領域で測定するが、生体内では、pH6~8の中性領域であるため、その安定性を評価した。結果、酸性では水溶液中でも安定であるが、中性では、24時間37℃で分解することが判明した。
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