研究課題/領域番号 |
18K11121
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研究機関 | 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター |
研究代表者 |
元永 恵子 独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, スポーツ研究部, 研究員 (20330516)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脊髄損傷 / アスリート / 基礎代謝量 / 二重標識水法 / エネルギー消費量 |
研究実績の概要 |
アスリートは一般人よりも総エネルギー消費量(total energy expenditure、TEE)が高い。また体重や筋肉量を維持するために食事から摂取するエネルギー必要量も多い。一方、肢体不自由者は様々な障がいの種別によりエネルギー代謝機構や筋肉量、神経支配、ホルモンバランスなどが健常者とは異なる可能性が考えられる。肢体不自由のあるアスリートではさらに練習やトレーニングによる身体活動が加わるため、エネルギー必要量を推定することが容易ではない。一般に上下肢欠損や切断、脊髄損傷等の肢体不自由者は健常者よりも基礎代謝量が低いとされているが、そのエビデンスは非常に少ないのが現状である。そこで本研究では肢体不自由のあるアスリートの①二重標識水(DLW)法によるTEE、②基礎代謝量(BMR)および安静時代謝量(REE)、③二重エネルギーX線吸収測定(DXA)法を基準とした体組成の推定値の比較、④TEEとBMRから算出した身体活動レベル(PAL)のデータを取得し、⑤TEE、BMR、体組成より算出した各指標を多角的に分析することを目的とした。 平成30年度は脊髄損傷アスリート男性6名(36±6歳)と、コントロールとして同程度の障がいのある非アスリート男性3名(42±4歳)を調査した。DLW法によるTEEの測定期間は7~8日とした。BMRとREEの測定値は個人によってばらついており、これは先行研究からも損傷高位や麻痺の完全性に由来すると予測され、その詳細について検討している。DLWによるTEE値はアスリートで2755±692kcal、TEEとBMRから算出したPALは2.04±0.41で、健常アスリートと同程度であることが確認できた。非アスリートは現在分析中である。DXA法による体組成値は、体内に金属のある脊髄損傷者ではその大きさ等に影響を受けるため注意を要することも確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は最終的に脊髄損傷のあるアスリート6名、二分脊椎のあるアスリート1名、脊髄損傷のある非アスリート4名の調査を行うことができ、分析を進めている。研究結果は口頭発表1演題を行ったことから、概ね予定どおりであると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度実施したプロトコルに基づき、競技団体スタッフとも相談しながら対象者に協力を呼びかけて実施していく。次年度も同程度の人数を対象に調査を進めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度であり安全性や月経の影響をふまえ、対象者を脊髄の損傷高位の低い男性を中心に募集したため、該当者が制限された。またアスリートの競技スケジュールと、施設および測定者のスケジュールの調整が難しかったこともあった。実施していく中で測定の流れも整ってきたため、次年度はもう少し損傷高位の高いアスリートや女性アスリートも対象としたい。
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