研究課題
アスリートの推定エネルギー必要量(EER)の設定は、栄養サポートで重要な項目の1つであり、エネルギー産生栄養素であるたんぱく質、脂質、炭水化物の目安量設定に影響する。厚生労働省が健康な個人を対象に策定している「日本人の食事摂取基準2020年版」でEERは総エネルギー消費量(TEE)と同量とされ、「基礎代謝量(BMR)×身体活動レベル(Physical Activity Level、PAL)」が算出式として示されている。車いす利用者のBMRおよび安静時代謝量(REE)が健常者より低いことは知られているが、その程度は明確ではない。また健常者の推定式や車いす利用者独自の推定式の推定精度も低い。その要因として、対象者の障害種別を一括りで検討した先行研究が散見されること、例えば同じ脊髄損傷でも頸髄(四肢麻痺)と腰髄(下肢麻痺)では身体能力や筋肉量が全く異なることが挙げられる。そこで本研究では肢体不自由のあるアスリートの①二重標識水(Doubly Labeled Water、DLW)法による総エネルギー消費量(total energy expenditure、TEE)、②BMR(安静時代謝量測定値との検証も含む)、③二重エネルギーX線吸収測定(Dual energy X-ray Absorptiometry、DXA)法を基準とした体組成の推定値の比較、④TEEとBMRから算出したPALのデータをそれぞれ取得し、⑤TEE、BMR、体組成より算出した各指標を多角的に分析することを目的としている。令和4年度は、新規測定の実現には至らず、これまでのデータを整理し、障がいの程度と体組成、BMRやTEEとの関連を検討した。まだ成果発表までには至っていないが、現在投稿準備を進めている。
4: 遅れている
令和4年度は新型コロナウィルス感染症対策の継続と、パリ夏季パラリンピック競技大会に向けた競技大会の活動が始まったことから、当初計画した新規測定の実施が難しかったため。
令和5年度は新規測定を行わず、これまで得られたデータから、各種解析を行い、世界的の研究者の動向を見ながら成果発表を進める。
当初、令和3年度中に測定を全て終了させる予定であった。しかしながら特に東京大会に向けてコロナウィルス感染症対策がさらに厳しい中、測定環境の整備および協力者の調整が難しかったことが要因となり、令和4年度で追加の測定の実施を検討したが、対象者確保などが難しく、十分な測定を行うことができなかった。次年度は新規測定は実施せず、成果発表に注力する。
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Journal of High Performance
巻: 9 ページ: 24-39