研究実績の概要 |
若齢(6週齢)と老齢(48週齢)のC57BL/6マウスに対して, 5IU PMSGおよび5IU hCGを腹腔内投与し、排卵刺激を行った。hCG投与後24, 48, 72, 96hの各時点で卵巣を採取し(n=4)、片側の卵巣はHE染色を行い、他方の卵巣はTotal RNAを抽出した。HE染色で発育卵胞数および新生黄体数を計数し、加齢の影響を解析した。卵巣から抽出したTotal RNAを用いて27bpの長鎖タグ配列のライブラリーを作製し、次世代シーケンサーでの網羅的遺伝子発現解析を行った。得られた12,685遺伝子の発現パターンを分類するために主成分解析を行い、顕著な変動を示す遺伝子群のパスウェイ解析を行った。さらにこれらの遺伝子と排卵機能の関係を解明するためGONAD法の条件検討を行った。卵管内受精卵でCRISPR-CAS9によるゲノム編集が行われたことを確認するため、チロシナーゼ遺伝子点変異を有するアルビノマウスを用いて野生型の遺伝子改編実験を行った。ゲノム編集の指標には眼球の色素沈着を用いた。HE染色による観察の結果、発育卵胞数に週齢の差は認められなかった。一方で新生黄体数は、hCG投与後24hで若齢と比べて老齢で有意に減少し、排卵応答の低下が確認された。主成分解析の結果、PC1軸は週齢に関連する遺伝子が分類されPC2軸はタイムコースに関連する遺伝子が分類された。排卵応答低下に関連するhCG投与直後の変動遺伝子経路は、若齢では解毒系経路、老齢ではヒスタミン分解経路が検出された。GONAD法は、妊娠13.5日目の同一腹仔マウスで1回目 2/3 匹(66.6%)、2回目 7/8匹(87.5%)、3回目 (木曜判明)でノックインマウスが検出され、高い確率でゲノム編集が行われたことを示している。この技術を用いて老化マウスの排卵機能低下に関連する遺伝子群を解明する。
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