研究課題/領域番号 |
18K11130
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
後藤 孔郎 大分大学, 医学部, 講師 (10457624)
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研究分担者 |
正木 孝幸 大分大学, 医学部, 准教授 (00423715)
柴田 洋孝 大分大学, 医学部, 教授 (20245484)
加隈 哲也 大分大学, 保健管理センター, 准教授 (80343359)
岡本 光弘 大分大学, 医学部, 助教 (80774546)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 肥満 / サルコペニア / 腸内環境 |
研究実績の概要 |
加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)は、寝たきりや要介護状態につながる転倒の要因の1つであり、その成因解明や予防法の確立が注目されている。肥満は肝臓や腎臓などの多臓器に炎症性変化をもたらすことが知られており、腸や骨格筋にも同様な炎症性変化をもたらすことが推測される。また、肥満によって悪化する腸内環境も腸内炎症性変化と密接な関係にある。さらに肥満はサルコペニアの原因の1つでもあり、これには骨格筋の炎症性変化が関与している。事実、肥満モデル動物において、骨格筋から分泌されるサイトカイン(マイオカイン)であり筋線維を肥大させるIL-15の発現が、骨格筋内での炎症性変化によって低下する。以上より今回、肥満モデル動物にみられるマイオカインの低下や骨格筋内の炎症性変化が、腸内環境の変化によって改善するか検討する。本研究の目的は、「肥満による腸内環境の悪化を改善させることが、サルコペニア発症予防に有効である」ことを明らかにすることである。 肥満に伴う小腸の炎症性変化によって腸管バリアが破綻し、腸管腔に存在するLPSが腸管外に漏出することで骨格筋に炎症性変化が惹起され、速筋繊維が萎縮するといったメカニズムが明らかになった。ところが、腸内環境改善作用を有するヨーグルトパウダーを摂取させると、このような小腸および骨格筋の炎症性変化を改善させ、肥満サルコペニアに有効であることが示唆された。 肥満サルコぺニア発症の予防または治療においては、レジスタンストレーニングに代表される運動やアミノ酸摂取などの有効性はある程度確立されているが、その活用度が低いことが現状であり、また薬物療法も未確立である。本研究により、肥満に対して腸内環境を整えることが、肥満サルコぺニアの発症や進展予防の一手になると確信する。
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