研究課題
近年の生活習慣病の一次予防と重症化予防のための多因子・集約的介入モデルのエビデンスの集積にも関わらず,エビデンスと実践のギャップが存在し,健康増進の各種施策は住民・患者の適切な行動変容と医療側のエビデンスの適用に必ずしも結びついていない.本研究は個人の健康行動や生活習慣修正に関する行動変容ステージモデル(トランスセオレティカルモデル)に着目し,①「行動変容プロセスと行動との関連」,②「行動変容プロセスと生活習慣病発症・重症化との関連」③「医療者のプラクティスパターンを中心とした行動変容プロセス並びに行動,アウトカムへの影響因子」を大規模な一般住民並びに生活習慣病通院患者コホートを用いて検討し,住民・患者の行動変容に繋がる効率的な多因子・集約的介入法を探索することを目的とする.初年度の予備的解析に引き続き,行動変容ステージのベースラインならびに経年的変化と多くが生活習慣病を背景に発症し,腎機能低下と蛋白尿で定義される慢性腎臓病(CKD)の新規発症の関連を検討した.その結果,日本人一般住民集団おいてCKDの新規発症のOddsは維持期をレファレンスとした場合,ベースラインが無関心期,関心期,準備期の者で有意に高く,実行期の者で有意に低いことが明らかになった(投稿準備中).引き続き行動変容ステージ,生活習慣因子及び健康行動因子の経年動態を類型化し,生活習慣病ならびにCKDの新規発症や重症化,死亡アウトカムとの関連を検討中である.
2: おおむね順調に進展している
当初計画内の解析が進捗し,解析成果の論文原稿がほぼ完成し,さらなる解析に着手できている.
行動変容ステージの経年変化パターンを変数とした要因解析が難しい場合,生活習慣因子,健康行動因子の経年動態観点からの詳細な解析を強化することとする.
研究開始初年度の所属機関異動により,物品調達,出張計画,論文作成スケジュール等に変更が生じたため.次年度以降に研究打ち合わせや成果発表のための学会出張や論文作成が計画より増えることが見込まれるため,その費用として使用する.
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Sci Rep
巻: 9 ページ: 12953