研究課題
近年の生活習慣病の一次予防と重症化予防のためのエビデンスと実践のギャップが存在し,健康増進の各種施策は住民・患者の適切な行動変容と医療側のエビデンスの適用に必ずしも結びついていない.本研究は個人の健康行動や生活習慣修正に関する行動変容ステージモデル(トランスセオレティカルモデル)に着目し,①「行動変容プロセスと行動との関連」,②「行動変容プロセスと生活習慣病発症・重症化との関連」③「医療者のプラクティスパターンを中心とした行動変容プロセス並びに行動,アウトカムへの影響因子」を大規模な一般住民並びに生活習慣病通院患者コホートを用いて検討し,住民・患者の行動変容に繋がる効率的な多因子・集約的介入法を探索することを目的とした.過年度以降,2年連続で特定健康診査を受診した40-74歳の非CKD178,780人を対象にトランスセオレティカルモデルで評価される行動変容ステージ(無関心期→関心期→準備期→実行期→維持期)のベースラインから1年後の経年変化をステージが「進行」した群,「不変」の群,「後退」した群の3群にわけ,CKDの新規発症との関連をロジスティック回帰分析を用いて解析した.その結果,1年間で20.0%で新規にCKDを発症し,ステージの「後退」群は「進行」群よりCKD発症率が有意に高く,健康的な生活習慣への行動変容ステージの「進行」がCKD発症率のリスク低下と有意に関連することを明らかにした.また行動変容のための介入の対象となりうる個別の生活習慣因子とリスクの関連の解析を進め,特定健診受診者コホートを用いた縦断解析で、1)運動習慣のない肥満CKDの粗死亡率の上昇,2)5つの健康習慣(禁煙、節酒、体重管理、運動習慣、食習慣)遵守によるCKDの有無に影響を受けない新規高血圧,糖尿病発症リスク低減との関連などの成果を得た.
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Internal Medicine
巻: - ページ: Epub
10.2169/internalmedicine.0803-22
Scientific Reports
巻: 12 ページ: 16319
10.1038/s41598-022-20807-2
巻: 61 ページ: 2841~2851
10.2169/internalmedicine.8992-21