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2023 年度 実績報告書

膜タンパク質機能を直接制御する機能性脂質の探索と作用機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K11135
研究機関自治医科大学

研究代表者

早川 枝李  自治医科大学, 医学部, 助教 (00383753)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2024-03-31
キーワードリン脂質 / アシル鎖 / 分子間パッキングストレス / リン脂質膜中側方ストレス / 膜タンパク質
研究実績の概要

タンパク質の機能調節の1つとしてタンパク質―脂質相互作用は重要な因子の1つである。しかし、細胞には数多くのタンパク質、酵素、脂質分子等が存在し、相互作用しつつ生命活動を維持しているため、1対1の直接的相互作用を細胞内で明確にすることは難しい。そこで本研究では、膜タンパク質として構造が解かれているカリウムチャネルタンパク質(KcsA)を脂質二重層膜に再配向させた“人工細胞膜”を用いて、リン脂質アシル鎖中の炭素数、二重結合数の違いが及ぼすタンパク質の構造・機能への影響を直接評価した。リン脂質はKcsAがバクテリア由来であることから、細菌膜の主要脂質であるホスファチジルグリセロール(PG)を用いた。リン脂質は同じ極性頭部をもっていても、アシル鎖中の二重結合数や炭素鎖の長さの違いにより、脂質分子間に発生する脂質間パッキングストレスも違いを生じるといわれている。この脂質間パッキングストレスや、脂質膜中側方ストレスの違いは共存する膜タンパク質の構造変化、機能変化に影響を与えるといわれているが、特にPG(膜)を用いた膜の物性、及び膜タンパク質への影響については不明な点が多く残っていた。本研究ではアシル鎖1本のみ炭素数、二重結合数を変えたPG;POPGとPAPGで構成したそれぞれの脂質二重層膜にKcsAを再配向させた。実験結果から、POPG膜とPAPG膜とではKcsAの配位する向きが異なることが明らかになった。また、POPG膜、PAPG膜のアシル鎖領域での分子間パッキングストレスはPOPGのほう強い(リン脂質―リン脂質間の自由空間が狭い)ことも明らかになった。これらの結果は、アシル鎖中の二重結合の違い、炭素数の違いが脂質分子間パッキングストレスの違いを誘導し、その結果、共存する膜タンパク質の構造、配向性にも影響を与えることを示している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] Portland State Univ.(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Portland State Univ.
  • [学会発表] 膜構成リン脂質アシル鎖領域に発生するパッキングストレスと膜タンパク質との相互作用に対する生物物理学的解析の確立2024

    • 著者名/発表者名
      早川枝李 , 植木美鈴 , Elmukhtar Alhatmi , 老木成稔 , 徳舛富由樹 , Drake C. Mitchell , 岩本真幸
    • 学会等名
      第93回日本寄生虫学会大会
  • [学会発表] The effect of different lateral packing stress in acyl chains on KcsA orientation and structure in lipid bilayer2024

    • 著者名/発表者名
      Eri Saki H. Hayakawa, Misuzu Ueki, Elmukhtar Alhatmi, Shigetoshi Oiki, Fuyuki Tokumasu, Masayuki Iwamoto, Drake C. Mitchell
    • 学会等名
      21st IUPAB Congress 2024
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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