研究課題/領域番号 |
18K11139
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
高田 尊信 金沢医科大学, 総合医学研究所, 講師 (20515308)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 心筋細胞 / 高濃度グルコース / 高濃度フルクトース / 拍動 / 細胞生存率 / 細胞内TAGE / 肝実質細胞 / 果糖ブドウ糖液糖 |
研究実績の概要 |
新生仔ラットから心臓を摘出し、心筋細胞を単離して、plateおよびdishに播種した。この初代培養心筋細胞を30 mMおよび50 mMの高濃度グルコース添加培地および高濃度フルクトース添加培地で120時間培養する実験を行った(培地は24時間ごとに交換した)。培養中は、30 mMあるいは50 mMのマニトール添加培地をコントロール群の培地とし、細胞を同じ浸透圧条件下においた。 30 mMのグルコースあるいはフルクトース添加条件では、心筋細胞の拍動および細胞生存率に変動がなかった。しかし、50 mMのグルコースあるいはフルクトース添加条件では、拍動は約50%に低下したが、細胞生存率に変動はなかった。細胞内TAGEをスロットブロット法により解析したところ、50 mMグルコースあるいはフルクトース添加培地群の心筋細胞内TAGEは、コントロール群より増加傾向にあった。現在、実験回数を増やして、定量結果を統計解析するための準備中である。 ラット初代肝実質細胞に25 mMフルクトース添加培地で120時間培養したところ、コントロール群(25 mMマニトール添加培地)の12倍のTAGEが生成した。 10%果糖ブドウ糖液糖を自由飲水したラットの血中TAGE、肝臓および心臓のTAGE量を測定した。血中TAGEと肝臓内TAGEはそれぞれコントロール群と比べて約1.5倍および3倍に増加した。しかし、心臓内TAGEは、コントロールと比較して有意な差が認められなかった。 TAGE化タンパク質の同定のために、二次元電気泳動実験をする必要があるが、これまでslot blot実験のために調製した細胞溶解液が、当該実験でも使用可能であることを検証した。 スロットブロット法の感度向上を目指す実験の過程で、ヒト肝実質細胞内の1,5-アンヒドロ-D-フルクトース由来AGEsの定量を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
心筋細胞に生成したTAGE化タンパク質を同定する実験のために、二次元電気泳動を用いたタンパク質網羅解析を行う予定であった。しかし、二次元電気泳動を行うための条件検討に時間がかかり、年度内に当該実験をすることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
二次元電気泳動を用いたタンパク質網羅的解析により、TAGE化蛋白質を同定する。 高グルコース培地や高フルクトース培地で培養した心筋細胞の、オートファジー関連蛋白質LC3のウェスタンブロット解析を行い、拍動の低下とオートファジーの関連を解析する。 果糖ブドウ糖液糖や食事性AGEs含有食品の摂取により、動物実験において、心臓内TAGEが増加するかを検証する。すでに10%果糖ブドウ糖液糖を13週間摂取させた実験を行い、肝臓内TAGEの増加が認められても、心臓内TAGEの増加が認められなかったことを参考として、新たに動物実験の計画を立てる上で、より高濃度の果糖ブドウ糖液糖を与える、果糖ブドウ糖液糖と食事性AGEs含有食品をともに与えるなどの方法を採る。
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