研究課題/領域番号 |
18K11142
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
前田 圭介 愛知医科大学, 医学部, 講師 (50775179)
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研究分担者 |
森 直治 愛知医科大学, 医学部, 教授 (70625540)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | サルコペニア / リハビリテーション / 摂食嚥下障害 |
研究実績の概要 |
1.入院中に発症する摂食嚥下障害の有病率とサルコペニアの摂食嚥下障害の関連について,大規模観察研究が終了した.対象は8,768例の高齢入院患者である.サルコペニアであることおよびサルコペニア関連状態(低活動,低栄養)は,入院中に発生する摂食嚥下障害の独立した規定因子だった.つまり,サルコペニアの摂食嚥下障害が入院中に発症している可能性を示唆していることが分かった.英語原著論文として令和元年5月に投稿予定. 2.188例のリハビリテーション入院高齢者を対象に,骨格筋量減少に着目した新しい低栄養診断方法を用いると摂食嚥下障害からの回復困難例を予測できるかどうか検証した後ろ向き研究を実施した.骨格筋量減少を含む低栄養患者では摂食嚥下リハビリテーションの効果が薄いことがわかった.サルコペニアの摂食嚥下障害が従来の摂食嚥下リハビリテーションに抵抗する可能性を示唆した結果といえる.令和元年5月に英語原著論文として投稿中. 3.脳卒中の摂食嚥下障害を呈していない高齢リハ患者を対象に,舌圧低下者と非低下者の摂食嚥下機能症状,および栄養関連指標の関連を調査する前向き研究として現在進行中.平成31年4月末時点で170例が適格性を判定され,評価された.中間解析は予定していない.令和元年9月以降に分析,論文執筆を予定している. 4.サルコペニアの摂食嚥下障害有病率調査を脳卒中患者及び整形外科リハビリテーション患者で実施中.現在予定サンプルサイズの8割を評価した.令和元年度に分析,論文執筆を予定している. 5.サルコペニアと摂食嚥下障害について,国内4学会が合同でステートメント論文を平成31年1月に発表した.本研究代表者も同論文の共著者であり,論文執筆に貢献した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度に舌圧低下者の摂食嚥下機能症状の特徴を調査終了する計画だったが,倫理審査の遅れから1~2か月予定より遅れている.しかし,他に2つの独立した研究を実施終了したこと,さらに別の2つの研究が予定より進んでいることを勘案し,おおむね順調に進展していると考えた.
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今後の研究の推進方策 |
平成31年1月に国内4学会が合同で,サルコペニアの摂食嚥下障害についてのステートメント論文を発表した.今後,サルコペニアの摂食嚥下障害について研究が加速していくことが予見される.本研究を確実に実施したうえで,更に派生させ,実態,病態,治療,予防法などを見出していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入,旅費の使用が実際は大幅に少なかった.研究開始時期が見込み時期と比べ数か月遅かったことが要因であると考える.また,原著論文執筆や通信費も同様に余剰が出た.次年度には学会発表,論文執筆とOA化などが見込まれるため,次年度へ繰り越す.
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