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2018 年度 実施状況報告書

糖尿病発症へのエピゲノムの関与

研究課題

研究課題/領域番号 18K11146
研究機関武庫川女子大学

研究代表者

倭 英司  武庫川女子大学, 生活環境学部, 教授 (20273667)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードインスリン分泌
研究実績の概要

平成30年度はHDACのインスリン分泌に対する影響を明らかにした。その結果、グルコースに対するインスリン分泌反応は、Trichostatin Aのみならずバルプロ酸、酪酸でも認められることを明らかにした。この効果は10mMバルプロ酸、10mMの酪酸で認められた。また、Trichostatin Aで認めれたPdx1遺伝子発現の抑制、MafA遺伝子発現の抑制も同様に認められた。このことから、HDAC阻害剤のクラスの区別なく、高用量であればグルコース応答性インスリン分泌を抑制することが示された。興味深いことに、これらのHDAC阻害剤は高グルコースにおけるインスリン分泌は抑制するものの、低グルコースにおけるインスリン基礎分泌量は促進することも明らかとなった。またインスリン分泌には影響を与えなかった。これらのことからHDAC阻害剤はインスリン分泌に細胞障害性に働くのではなく、インスリン分泌制御に関与することを示唆する。
また、免疫染色にてもβ細胞株MIN6においてHDAC阻害剤はPdx1およびMafAの染色が弱くなることを確認した。このことから、HDAC阻害剤の効果は遺伝子発現量のみならず、蛋白発現も抑制していることが明らかとなった。それに加えてTrichostatin Aにより過酸化水素刺激による活性酸素が上昇していることが認められ、HDAC阻害剤は活性酸素の増加を介してインスリン分泌に影響を与える可能性が示唆された。
これらのHDAC阻害剤の作用発現機序を明らかにする目的で、HDAC阻害剤処理と未処理の間で遺伝子発現の網羅的検討をするためアジレントマイクロアレイを行って現在解析中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成30年度はHDAC阻害剤のインスリン分泌に対する影響を検討することができ、また今後のインスリン分泌機構解析のための道筋としてマイクロアレイ解析も行うことができた。

今後の研究の推進方策

平成30年度で明らかになったHDAC阻害剤のインスリン分泌機構への影響が、そのような機序で行われているかを検討することは、膵β細胞機構の検討のみならず、2型糖尿病の発症機構を考える上でも重要な知見を提供するものと考えている。
そこで、現在行っているマイクロアレイ解析の検討を推し進める。マイクロアレイで得られた結果を解析してHDAC阻害剤がどのような機序でインスリン分泌を制御しているのかを見出して今後の研究につなげてゆく。

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公開日: 2019-12-27  

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