本研究で導出した電子指紋符号のユニバーサル単純容量およびユニバーサル同時容量の公式は,既存の文献の中にも現れている形ではあるが,既存の文献の中には容量の達成可能性および容量より大きいレートの達成不可能性の厳密な証明の記載はなく,真の意味での容量としての意味は確立されていなかった.本研究では,達成可能性および達成不可能性を厳密に証明したという点で,既存研究とは異なる.本研究の証明において鍵になったのは,電子指紋符号の問題の拡張の他,複数のスコア関数を用いた特定器の構成,仮説検定問題における等式,Sion のミニマックス定理などである.複数のスコア関数を用いた特定器は,実用的にも示唆を与え得る.
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