研究課題/領域番号 |
18K11155
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
谷川 眞一 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (30623540)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | グラフ剛性 / マトロイド / テンセグリティ / ランダムグラフ |
研究実績の概要 |
昨年度に発表したスプライン空間におけるcofactorマトロイド解析手法の、一般化・抽象化に取り組んだ。グラフ上の極大マトロイド構築問題を導入し、極値組合せ論で盛んに研究がなされているweakly saturated sequenceや、マトロイド理論におけるfree elevationの道具を利用することで、いくつかの基本的な例に対する具体的な極大マトロイドの構成方法を提案し、一般的に極大マトロイドが一意に定まるための予想を提案した。 またテンセグリティの普遍剛性の特徴づけ問題に取り組み一定の成果を得た。テンセグリティの配置空間は、半代数的な系の解空間の一例として重要である。その解の一意性を特徴付けることは、困難な課題であるが、次元を緩和することで一意性の十分条件がConnellyによって示されている。このConnellyの十分条件が、次元緩和の設定において、必要条件になることを証明した。さらに実数体上での表現論を利用した、半正定値計画問題のブロック対角化手法を利用して、対称性を有するテンセグリティにも結果を拡張した。 またErdos-Renyiモデルを一般化した、ランダム部分グラフモデルにおけるグラフの大域剛性問題に取り組んだ。この問題はある種の確率モデルにおける、多項式系の解の唯一性に関する問いである。組合せ的特徴づけに基づく組合せ論的解析手法が知られていたが、この手法は2次元の場合にのみ適用可能であった。本研究ではランダム行列理論を利用した一般次元での解析方法を導出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年度当初に計画したcofactorマトロイドの解析手法の一般化・抽象化の作業を、想定通り推し進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度提案した、グラフ上の極大マトロイドに関する劣モジュラ予想の解決に向け、更なる特殊例の考察を行う。特にKalaiによる超連結度マトロイドやKalai-Nevo-Novikによる双剛性マトロイドの極大性を考察する。 またランダム部分グラフモデルにおいて、解の唯一性の保証だけでなく、解を具体的に計算する方法を考察する。特にErdos-Renyiモデルにおいて保証されている一次法に基づく解法が、ランダム部分グラフモデルにおいても有効であるかを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究のためQueen Mary University of LondonのBill Jackson教授を訪問するための経費を計上していたが、コロナウィルスの影響により中止となってしまった。状況が改善次第、共同研究のための旅費目的に使用する。
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