• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

削除訂正符号の限界解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K11159
研究機関東京工業大学

研究代表者

安永 憲司  東京工業大学, 情報理工学院, 准教授 (50510004)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード誤り訂正符号 / 挿入・削除訂正
研究実績の概要

挿入・削除を訂正する符号について,通信路を多項式時間アルゴリズムと考え,計算量制限通信路における挿入・削除訂正問題を考えた.特に,正の符号化レートをもつ一意復号可能な符号が存在する範囲を,挿入・削除レートに対して明らかにすることを目指した.挿入レート e,削除レート d((e,d)-誤りと呼ぶ)を訂正可能な q 元符号に関して,Bukh ら (IEEE IT 2017) による符号から e + d < 1 - 2/(q + q^(1/2)) に対しては符号化レート正の符号が存在することがわかる.一方,Guruswami ら (FOCS 2021) によって示された結果より,e + d > 1 - 1/q - O(1) の範囲ではそのような符号が存在しないことがわかる.
本研究では,(e, d)-誤りに対してリスト復号可能な符号があれば,計算量制限通信路を考えることで,r = min(e,d)/2 に対し,(r, r)-誤りを一意復号可能な符号を構成できることを示した.構成法は,入力相関困難性ハッシュ関数と呼ばれる暗号学的なハッシュ関数を用いており,そのハッシュ関数を h としたとき,リスト復号可能符号 C を使って,入力 x の符号語を C(x, h(x)) と計算すればよい.この結果より,(e,d)-誤りに対してリスト復号可能な符号として優れた符号があれば,それを一意復号に変換することができる.Hayashi, Yasunaga (IEEE IT 2020) で示された符号を適用した場合は,Bukh らの符号で示された達成可能性を超えることができないことも明らかとなった.また,(e,d)-誤りに対するリスト復号可能符号が大きな符号化レートをもつ場合,その符号化レートを訂正可能な誤りレートに変換できることもわかった.一方で,符号化レートが大きな符号で優れたリスト復号性能をもつ符号の構成法はこれまでに知られていない.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

挿入・削除のための計算量を制限した場合に訂正可能な符号が存在する範囲について,具体的な符号の変換法により可能性の範囲を明らかにすることができた.この結果より,リスト復号可能な符号を構成することが計算量制限によって訂正可能性の範囲を広げるための手がかりであることがわかった.符号化レートの大きなリスト復号可能符号が構成できるとそれを訂正能力の拡大に活かせることもわかったが,そのような符号の具体的な構成法はわかっていない.その意味である程度順調に進展していると言える.

今後の研究の推進方策

挿入・削除を訂正する符号の符号化レートと誤りレートのトレードオフに関して,符号化レートが正という制約を設けた場合,可能性と不可能性の間は少し残っているものの大きなギャップはない.一方で,符号化レートを大きくした場合のギャップは大きいため,その幅を縮めるための工夫を探っていきたい.

次年度使用額が生じた理由

国際会議・国内会議の多くが COVID-19 の影響で現地開催されず,予定していた旅費が発生せず,意見交換の機会を得ることができなかったため.
国際会議(ISITA, Asiacrypt)や国内会議(情報理論研究会,コンピュテーション研究会,情報セキュリティ研究会,LAシンポジウム等)への参加を再計画し旅費に当てる予定である.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)

  • [学会発表] Replacing Probability Distributions in Security Games via Hellinger Distance.2021

    • 著者名/発表者名
      Kenji Yasunaga
    • 学会等名
      2nd Conference on Information-Theoretic Cryptography
    • 国際学会
  • [学会発表] Bit Security as Computational Cost for Winning Games with High Probability2021

    • 著者名/発表者名
      Shun Watanabe and Kenji Yasunaga
    • 学会等名
      ASIACRYPT 2021 - 27th International Conference on the Theory and Application of Cryptology and Information Security
    • 国際学会
  • [学会発表] 暗号学的ハッシュ関数を用いた挿入・削除訂正2021

    • 著者名/発表者名
      長谷場 保亮, 安永 憲司
    • 学会等名
      第44回情報理論とその応用シンポジウム (SITA2021)
  • [学会発表] 少ない順位付けを用いるランキング手法の評価:決定性と乱択2021

    • 著者名/発表者名
      草地翔斗, 安永憲司
    • 学会等名
      日本オペレーションズ・リサーチ学会 2021年秋季研究発表会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi