研究課題/領域番号 |
18K11162
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
楫 勇一 名古屋大学, 情報連携統括本部, 教授 (70263431)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ハッシュベース署名 / Winternitz署名 / 指紋関数 / 安全性証明 / 耐量子安全性 |
研究実績の概要 |
ハッシュベース署名(HBS)の効率改善のため,定数和指紋関数の利用,ハッシュ連鎖の部分構成,鍵パンクチャ技術の適用といった手段について,個別の検討を行ってきた.定数和指紋関数の利用により計算量の削減効果が生じること,ハッシュ連鎖の部分構成により鍵生成の効率化が図れること,鍵パンクチャ技術の適用により署名サイズの削減が可能となること等,個々の要素技術の効果は既に明らかになっている. 補助事業最終年度となる令和2年度においては,これら一連の個別技術を統合し,その効果を総合的に評価すること,および,形式的な安全性証明を完成させることを計画していたが,新型コロナウィルスへの対応で十分な研究時間をとることが難しく,計画通りの進捗を得ることはできなかった. 効果の総合的な評価については,性能関数の定式化までは進んでいるものの,設定すべきパラメータ数が多数となるため,得られた数値結果の定性的な解釈を得るまでに至っていない状況である.安全性証明に関しては,個々の要素技術の安全性証明については概ね目処がついているものの,三要素を組み合わせた総合的な方式の安全性証明については未着手の状態となっている. これらの課題を解決するため,補助事業期間を1年延長し,所期の計画の完遂を目指すこととした.なお,当初計画にはなかった周辺的な研究成果が継続して得られているため,それら結果について国内外の学会等で研究発表を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度に発生した新型コロナウィルスの影響により,研究時間を十分に取ることができなかった.研究代表者は大学の情報システム部門に籍をおいており,コロナ下における教育・研究実施体制の構築作業等,全学的なコロナ対策業務に忙殺される状態であった.
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今後の研究の推進方策 |
研究の方向性は定まっており,何をなすべきかも明確となっている.十分な時間をかければ,当初の研究目標に十分到達可能であると認識している.新型コロナウィルスの影響も2年目となり,情報システム部門として,それなりの経験の蓄積を積んでいることから,2021年度は研究時間を確保することが可能であると見込んでいる.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により研究の遂行に支障が生じ,実験用機器の調達,研究成果発表等を計画通り行うことができなかった.遅延の生じた物品調達を実施するとともに,学会発表以外の形式も含め,研究成果を広く公表するための予算執行を進める.
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