研究課題/領域番号 |
18K11177
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
塩浦 昭義 東京工業大学, 工学院, 教授 (10296882)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 離散凸関数 / ロバスト最適化 / 離散最適化 / 離散凸解析 / 整数計画 |
研究実績の概要 |
昨年度に引き続き,複数のM凸関数の最大値を最小にする,という問題について検討を行った.この種の問題は近年,計算的社会選択の分野において,不可分財の公平配分という文脈で盛んに研究されているが,既存研究において,与えられた関数が線形という非常に特殊な場合でも一般には計算困難なことが示されている.したがって,目的関数をM凸関数に一般化した問題はより難しい問題となり,最良の解を求めることは絶望的であり,理論保証をもった近似解を求めることが当面の目標となる.これまでの研究の結果,配分先が2つなどの非常な特殊な場合については近似解を効率的に計算できることが分かったが,より一般的な場合については手がかりが得られていなかった.しかし,つい最近arXiv上で発表された論文において,配分する財の個数を1個から定数個に増やすことにより,一般的な場合において誤差が定数の近似解が効率的に計算可能,という結果が示された.近似精度としてはあまり良くない結果ではあるが,これまでの行き詰まりを打開するきっかけになると思われる. また,全域木や最短路のような良いネットワークを設計すると同時にネットワークを築くためのスケジュールを求める問題について取り組んだ.この問題は,災害などにより被害を受けたネットワークの機能をいち早く復元するという動機から検討されてきた.既存の研究ではヒューリスティックスや厳密解法に関する成果が示されていたが,本研究では理論的な近似可能性に重点をおいて研究を行った.その結果,いくつかの問題に対して任意の近似精度で効率的に近似解を求めるアルゴリズムを提案することができた.さらには,ネットワークを築く際に利用可能な機械の台数に関する興味深い結果を得ることができた.この結果は論文にまとめて投稿中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度もコロナ渦で,例年のように国内外の出張が全く出来なくなり,研究計画の大幅な変更を余儀なくされたが,徐々にコロナ渦での研究スタイルになれてきたこともあり,研究時間が昨年度より確保できるようになった.また,昨年度の研究が徐々に進展してきて,その一部については論文としてまとめられ投稿することができた.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究で得られたアイディアをまとめ,論文として発表できるような形に持って行く.本研究の成果は国内外の学会等で発表し,結果について他の研究者からの評価を仰ぎ,さらに改善可能かどうか検討を行う.また,可能であれば海外の共同研究者を訪問し,この研究成果に関する議論を行いたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ渦で国内外の出張がほぼすべて実行できず,予算執行計画の大幅な見直しを行った.次年度に海外出張ができる可能性を考慮して,次年度に予算を残した.
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