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2020 年度 実施状況報告書

計算困難な組合せ最適化問題への多方面からのアプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 18K11183
研究機関東京電機大学

研究代表者

陳 致中  東京電機大学, 理工学部, 教授 (00242933)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードk-パス分割問題 / 近似アルゴリズム / 最大2-マッチング問題 / ならし解析
研究実績の概要

(有向または無向)グラフGのk-パス分割とは,下記の条件をすべて満たす「Gの長さk未満のパスの集合P」のことをいう.
(1) Pに属するパスが頂点を1つも共有しない.
(2) Gの各頂点がPのどれかのパスに現れる.
「k-パス分割問題」とは,グラフGが入力されたとき,Gのk-パス分割の中でサイズが最も小さいものを1つ見つける問題のことをいう.2-パス分割問題は明らかに最大マッチング問題と同じで,多項式時間アルゴリズムで解ける.一方,kが3以上であるとき,(入力を無向グラフに限定したときでさえ)k-パス分割問題がNP困難であることが古くから知られている.本研究では,k-パス分割問題の多項式時間近似アルゴリズムをいくつか設計して解析した.
まず,無向k-パス分割問題(入力を無向グラフに限定したときの問題)について研究を行った.結果として,kが9以上であれば,近似率(k+4)/5の多項式時間近似アルゴリズムが存在することを示せた.次に,有向k-パス分割問題(入力を有向グラフに限定したときの問題)について研究を行った.結果として,kが5以上であれば,近似率(k+2)/3の多項式時間近似アルゴリズムが存在することを示せた.さらに,有向k-パス分割問題の特別な場合(長さ2の有向サイクルを持たない有向グラフに限定した場合)について研究を行った.結果として,kが7以上であれば,近似率(k+3)/4の多項式時間近似アルゴリズムが存在することを示せた.
上記の近似アルゴリズムを得るために,最大2-マッチング問題の多項式時間アルゴリズムとならし解析を活用した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

k-パス分割問題の様々なバージョンについて研究を行い,従前の近似アルゴリズムよりよい近似率を達成する新しい近似アルゴリズムを設定することができた.現在,研究成果を論文としてまとめている最中であり,近いうちに国際会議または学術論文誌に投稿する予定である.

今後の研究の推進方策

kが9未満の場合 無向k-パス分割問題が近似率(k+4)/5の近似アルゴリズムを持つかどうかはまだ不明なので,9より小さい整数kそれぞれについて無向k-パス分割問題の自明ではない近似アルゴリズムを設計する予定である.
kが5未満の場合 有向k-パス分割問題が近似率(k+2)/3の近似アルゴリズムを持つかどうかはまだ不明なので,9より小さい整数kそれぞれについて有向k-パス分割問題の自明ではない近似アルゴリズムを設計する予定である.

次年度使用額が生じた理由

春休みと夏休みにそれぞれ1ヶ月の海外出張を予定したが,新型肺炎のせいで中止せざる得なかった.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Improved Approximation Algorithms for Path Vertex Covers in Regular Graphs2020

    • 著者名/発表者名
      A. Zhang, Y. Chen, Zhi-Zhong Chen, and G. Lin
    • 雑誌名

      Algorithmica

      巻: 82 ページ: 3041-3064

    • DOI

      10.1007/s00453-020-00717-3

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Faster Exact Computation of rSPR Distance via Better Approximation2020

    • 著者名/発表者名
      Zhi-Zhong Chen, Y. Harada, Y. Nakamura, and Lusheng Wang
    • 雑誌名

      IEEE ACM Trans. Comput. Biol. Bioinform.

      巻: 17 ページ: 916-929

    • DOI

      10.1109/TCBB.2018.2878731

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2021-12-27  

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