テスト付きスケジューリングの合計処理時間最小化問題の多項式時間近似アルゴリズムを設計した。この問題において各ジョブのテスト時間tiと処理時間の上限uiが予め与えられる。各ジョブJiについてそれぞれテストするかしないかを決定しなければならない。ジョブJiをテストしないに決めた場合、その処理時間がuiになる。一方、ジョブJiをテストするに決めた場合、そのテストにti時間がかかるだけでなく、そのテスト後にその厳密な処理時間piが分かるので、Jiの合計処理時間がti+piとなる。さらに、全ジョブのm台マシンへの割り当ておよび各マシン上での処理順を決定しなければならない。この問題について研究した結果、下記の4つを得た: (1) 何も制限がない場合:競合比2φの決定性アルゴリズムを得た。ここで、φは黄金比である。 (2) 各ジョブのテスト時間が1である場合:m>4であれば 競合比(φ+(φ+1)(1-1/m)/2の決定性アルゴリズム、m<5であれば 競合比(φ+1)の決定性アルゴリズムを得た。 (3) preemptive設定の場合:m>2であれば 競合比(3.5-1.5/m)の決定性アルゴリズム、m<3であれば 競合比3の決定性アルゴリズムを得た。 (4) 何も制限がない場合:m>36であれば 期待競合比(0.0382+2.7925(1-0.5/m))のrandomizedアルゴリズム、m<37であれば 期待競合比2.7925のrandomizedアルゴリズムを得た。 上記の結果はマシンの台数mと関係なく成り立つ。これに対し、以前の結果は全部m=1のときのみに通用する。また、上記の結果1に対し、以前の最良なアルゴリズムが競合比4しか達成しない。さらに、上記の結果3に対し、以前の最良なアルゴリズムが競合比2φしか達成しない。
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