研究課題/領域番号 |
18K11187
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
五所 正彦 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70701019)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | データ欠測 / 混合効果モデル / ロバスト分散 / 加速モデル / シグナル検出 |
研究実績の概要 |
本研究では,臨床試験やデータベース研究においてサンプルサイズが小さい,イベント数が少ないといった小標本問題に対する統計手法の開発及びその実用化を行っている.2020年度は以下の課題に取り組んだ. 課題1)欠測値を伴う正規応答の経時測定データ解析には,線形混合効果モデルを使用することが多い.このとき標準誤差の推定にロバスト分散推定量を使用することがあるが,これは小標本下で標準誤差を過小推定する.小標本バイアスを補正するためのロバスト分散推定量は複数提案されているものの,欠測が存在するときの性能は明らかにされていない.本課題では,欠測下で小標本ロバスト分散推定量の性能を比較し,Mancl & DeRouenの方法が優れていることを示した.その成果を学術雑誌に投稿し,採択された. 課題2)欠測を有する経時測定データにおいて,治療群間で欠測のパターンが異なることがある.このようなデータを解析するための方法として,時点変数をカテゴリとした新しいパターン混合モデルを提案した.数値実験を通じて,その性能の良さを確認した.その成果を学術論文として発表した. 課題3)生存時間解析に利用される加速モデルに対して,小標本であっても頑健な仮説検定を提案した.具体的には,Bartlett 補正法およびノンパラメトリックブートストラップ法を適用した新たな検定法を開発した.数値実験を通じ,提案法は多くの状況で,第1種の過誤確率を名義の水準に保ち,その性能の高さを確認した.その成果を学術論文として発表した. 課題4)安全性情報データベースにおいて,報告数の少ない有害事象を早期に検出するためのシグナル検出法を開発した.本方法はBayes 流のアプローチを利用して既存の検出法を改良したものである.数値実験により,改良法の感度は既存法よりも高いことを確認した.その成果を学術論文として発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該領域の国際雑誌への研究論文の発表に成功しており,十分な成果を上げられていると評価している.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り研究が進んでおり,ここまでに得られた成果を随時,報告できているため,研究計画の大きな修正は必要ないと考える.
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費が予定額を下回った. 計算用PC購入や論文投稿の費用として使用する.
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