研究実績の概要 |
本研究では準線形モデリングのクラスター構造を援用し,臨床,画像,病理のデータを用い,びまん性肺疾患を含む画像診断の精度を向上させ,新たな診断法の開発を目指した.また用いたデータのどの特徴量がどのように疾患に関連しているかを明らかにすることを目的としていた.具体的な成果としては 1.準線形モデリングのクラスター構造を,k-means, fuzzy c-means, 正規混合モデルの観点から考察し,その統計的性質を明らかにした. 2.コロナの影響で,臨床データ,病理データの解析は事実上進めることができなかったが,主要データである画像データを用い,深層学習,転移学習,アンサンブル学習を組み合わせることで従来の判別精度より10%ほどの改善を達成した. 3.深層学習法の可視化の1つのGrad-Camを用いることで,画像データのどの部位がどの病変と深く関係があるかの知見を一定程度得ることができた. 上記1の成果に関しては,各クラスターをKolmogorov-Nagumo平均で結ぶことで,クラスター分析で広く用いられてきたk-means, fuzzy c-means, 正規混合モデルを統一的に扱えることを示した.また各クラスターの平均と分散構造を規定するパラメータをEMアルゴリズムを用いて効率よく推定するアルゴリズムを提案し,クラスターデータベースでのその性能を評価した.学会発表と論文執筆で研究成果を公表した. 上記2の成果に関しては,深層学習法ではDenseNet, ResNet, VGG16, VGG19らを,転移学習ではImageNetを,アンサンブル学習ではAdaboostなどによる重み付き多数決手法を用いた.深層学習法に含まれる膨大なパラメータをファインチューニングすることで10%ほどの精度改善を達成した.この成果は学生の修士論文としてまとめた.
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