研究課題/領域番号 |
18K11193
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
小方 浩明 首都大学東京, 経営学研究科, 准教授 (30454086)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 方向統計学 / 時系列解析 |
研究実績の概要 |
circular dataにおいてFrechet-Hoeffding copula boundsの拡張版を考えた。copulaとは、二つ、もしくはそれ以上の確率変数間の従属性を表す強力なツールである。Frechet-Hoeffding copula upper (lower) boundは二つの確率変数が完全に正(負)の従属性を有していることを示唆しているが、circular dataにおいてはその周期性ゆえ通常の従属性のコンセプトが適用できない。そこで本研究ではその周期性を考慮したFrechet-Hoeffding copula upper (lower) boundの定義を与えた。その後Frechet and Mardiaのcircularヴァージョンのモデルを考え、シミュレーションにより挙動を確認した。またcircular dataにおけるcopulaの同値類を定義した。 また、pairwise copulaを用いて定義された、circular dataにおけるstationary multi-order Markov processに関する研究を行い、論文を完成させた。circular (first order) Markov process は二つのcircular densityを用いて定義されるが、そのうちの一つはbinding densityと呼ばれており、copula 関数に相当する。これを高次のcircular Markov processに拡張させ、vine copulaを用いてbinding densityを定義したものである。論文は学術雑誌に投稿され、現在査読中である。 circular dataの従属性についてはこれまで様々な研究がなされてきた。それを、近年もなお注目されて続けているcopulaという概念でもって考察を与えている一連の研究は、circular data、copulaの両分野をつなぐ架け橋となるものであり、大きな意義、重要性があると思われる。 ※Frechetの最初のeにはアクセント記号(アクサン・テギュ)がつく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
circular dataにおけるFrechet-Hoeffding copula boundsの研究は、内容の基礎的なところは完了している。またpairwise copulaの研究に関しては論文投稿が済んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
circular dataにおけるFrechet-Hoeffding copula boundsの研究において、モデルパラメータの適切な推定量を構築していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 本課題研究における遠方での会議が少なく、書籍等の購入も予想より少なかったため。 (使用計画) 遠方での会議や論文投稿料、書籍やPCなどの機器の購入に充てたい。
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