研究課題/領域番号 |
18K11196
|
研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
渡辺 元宗 (張元宗) 目白大学, 社会学部, 客員研究員 (40227343)
|
研究分担者 |
篠崎 信雄 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 名誉教授 (70051886)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | shrinkage estimator / multiplicate Poisson / estimated frequency / isotonic regression |
研究実績の概要 |
p個ポアソン分布の母平均の同時推定問題において、指定した任意な正の数値(正の整数に限らない)あるいは最小値、順序統計量に縮小推定量を提案し、制約条件を考慮しない従来の推定量またはisotonic regression推定量より良くなるための十分条件を与えた(New Types of Shrinkage Estimators of Poisson Means under the Normalized Squared Error Loss, COMMUNICATIONS IN STATISTICS THEORY AND METHODS, (2019) VOL.48, NO. 5, 1108-1122)。 上記の結果に基づいて、multiplicative ポアソンモデルに従うm x n分割表の母平均の同時推定問題への拡張をし、指定された正の数値、順序統計量に縮小する推定量を提案、標準化された2乗損失の和の下で、最尤推定量より良くなるための十分条件を与えた。さらに、列と行双方向への2重縮小推定量を構築、最尤推定量を改良するための十分条件を与えた。提案した推定量の相対的な改良度合を確認するための数値計算も行った。 一方、ポアソン母平均の同時推定において、平均への縮小推定量は最尤推定量を改良することが予想されているが現時点では証明されていない。しかし、研究代表者らは独自に、m x n分割表で行の比(列の比)に基づく推定度数(estimated frequency)を考案し、推定度数より大きい突出した観測度数のパターンを分類、パターンの組み合わせ総数を数え上げる一般式を導出した。突出した数値を推定度数への縮小推定量を構築し、改良となるための十分条件を与えた。数値例を挙げ、期待度数に縮小した推定量に近い結果が得られた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
multiplicative ポアソンモデルに従うm x n分割表の母平均の同時推定問題を共同研究者と緊密に議論、得られた研究成果を"Simultaneous estimation of Poisson means in two-contingency tables under normalized squared error"に纏め、"Japanese Journal of Statistics and Data Science"に投稿、現在原稿を修正中です。 また、高次元正規分布の母平均にsimple orderまたはsimple tree order制約条件がある場合のisotonic regression推定量を原点にまたは一般平均に縮小するような推定量を構築、isotonic regression estimatorを改良するため十分条件を導く研究も進行しています。
|
今後の研究の推進方策 |
ポアソン分布の平均ベクトルの同時推定について、2つ以上のポアソン分布の平均の同時推定において、指定した正の数、あるいは最小値や順序統計量に縮小する問題、または母数にsimple tree order制約条件がある場合に、isotonic regression推定量を改良する研究を進めており、明確な結果が得られている。研究結果をさらに発展させ、一般の順序制約条件(simple order)がある場合の同時推定を考え、最尤推定量を改良するための十分条件を与えたい。また、制約条件がない場合のポアソン分布の平均マトリックスの同時推定も今後の研究対象を考えている。 正規分布の平均ベクトルの同時推定について、p次元正規母平均にsimple orderおよびsimple tree order制約条件がある場合、正規母平均の線形関数の推定について、制約条件を満たす最尤推定量が制約条件を無視した不偏推定量を改良するための次元および係数についての条件を明らかにしたい。また、isotonic regression推定量の改良も試みたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で、国際会議に参加できないため。
|