研究課題/領域番号 |
18K11199
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
村上 秀俊 東京理科大学, 理学部第一部応用数学科, 准教授 (60453677)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ノンパラメトリック法 / Ranked Set Sampling / 近似分布 / 密度推定 |
研究実績の概要 |
自然保護や環境問題への対策は,現代社会において必要不可欠な研究課題であり,精度の良いデータを収集することで良い統計分析が可能となる.Ranked Set Sampling (RSS) という統計手法を用いることで,より精度の良いデータを得ることが可能となる.本研究では,RSS の多変量データへの拡張,およびノンパラメトリック法の理論構成を研究目的としている.本研究では,1) 新しい RSS の提案,2) 多変量データに対する RSS の提案,3) ノンパラメトリック検定統計量の理論考案および近似分布の導出,4) RSS データに対する密度推定,5) 生態学データへの適用に焦点を当てている. 2) については,新しい RSS の提案の前段階として多標本確率ベクトルに対する主成分スコアの正準相関分析法を提案した. 3) については,Murakami and Kawada (Online First),Nishino and Murakami (2019, 10th IWS),Kitani and Murakami (2019, 10th IWS),Kawada and Murakami (2019, 10th IWS),木谷・村上および山口・村上 (2019,日本計算機統計学会第33回大会) で新しいノンパラメトリック検定統計量の提案および分布を導出した. 4) については,Yamaguchi and Murakami (2019, 10th IWS) で提案手法の妥当性を発表した. 5) については,Kitani and Murakami (Online First) 拡張型指数分布の和の分布を導出したことにより,生態データへの当てはまりのよい分布を提案した. その他,論文4編を投稿中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的の一つに,新しい RSS の提案や多変量データへの適応,そして RSS データに対する密度推定が研究課題であったが,それぞれに対して論文を投稿したり,国際会議で発表をしている.特に理論的裏付けが出来たことは非常に大きな研究成果である.また,生態データに対して当てはまりの良い分布(拡張型指数分布の和の分布)を導出することができ,論文として採択されている.また,ノンパラメトリック検定統計量の理論考察および近似分布の導出が研究課題にあるが,近似分布や極限分布の導出,検定統計量の不偏性の検証などを研究計画としていたが,それぞれにおいて論文が複数採択され,その他にも論文として投稿しており,複数の論文が修正中である.論文投稿までは至っていない内容も,学会発表は出来ており,論文としてまとめ段階にあるので,概ね順調に達成されていると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,研究課題 1) 新しい RSS の提案,2) 多変量データに対する RSS の提案,3) ノンパラメトリック検定統計量の理論考案および近似分布の導出,4) RSS データに対する密度推定,5) 生態学データへの適用の中の 1) および 3) に焦点を当てて研究を行う. 2019年度は 2) および 4) に焦点を当てて研究を行なったが,1) を提案することができれば更なる研究成果に繋がると推測される.特に,多変量データにおける順位の決定方法は本研究課題に骨幹を成す研究課題であったため,その方法を 1) に応用することを計画する.また,3) については,海外の研究者と共同で研究を行ない,実用面および理論面の両面から提案方法の妥当性を研究する.理論的研究が進まない場合は,シミュレーション実験等による数値的な側面から検証を行い,問題解決の糸口を探る.同時に,多変量データに対する検定統計量の提案もデータ解析では必要になるため,新たな検定統計量の提案および分布の導出に向けて研究を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究推進のために購入予定であった複数の洋書の発刊が予定よりも大幅に遅れたため,次年度使用額が生じた.生じた差額は図書購入費に充てる計画である.
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