研究課題/領域番号 |
18K11200
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
黒沢 健 東京理科大学, 理学部第一部応用数学科, 准教授 (80582303)
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研究分担者 |
江島 伸興 京都大学, 高大接続・入試センター, 特定教授 (20203630)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 回帰相関係数 / 予測分布 |
研究実績の概要 |
本報告者は初年度の大半をオーストラリア国立大学(ANU)にて, 客員教員として在籍した(2018年3月上旬から2019年3月上旬). そこで受け入れをしてくれたAlan Welsh教授と, またAlan Welsh教授と近い分野で研究をしているFrancis Hui先生と共に検討を進めた. そこで本報告者および同研究者等を中心に, 実施計画に記載した大きく分けて二つの課題を検討した. 1つ目は, 一般化線形モデルに対するモデル評価基準の検討に関してある. 一般化線形モデルは線形モデルの一般化として位置づけられており, 線形回帰モデルには決定係数と呼ばれるモデル評価尺度があるが, 一般化線形モデルには, 決定係数のように決定的なモデル「評価」尺度は存在しない. そのため, 研究初年度に予定していた, ECCとECDと呼ばれるモデル評価尺度に共通するmppという値に対する, 「明示的な表現」, 「単調増加性」, 「推定量の検討」, 「実データのケーススタディ」の4点に関して検討した. これらの検討の個々の成果を複数回の会議で報告し, 11月にANUとWollongong大で主に企画実行しているFellowsセミナーで招待講演者として1時間15分にわたって, 本成果の発表をおこなった. また研究分担員が筆頭のECCに関連した結果も論文化された。 さらに, 次年度に予定していたもう一つの課題である「未観測データの予測分布の優越性評価と漸近論に基づく予測限界の補正」と題した検討の内、打ち切りデータの未観測値の予測分布の優越性評価に関しても検討を進め, 国内でその成果を発表したのち, ANUの研究者等と打ち合わせを設け, 詳細な検討に入った. そして, その成果をANUで開かれているセミナーにて, 招待講演者として1時間の講演をおこなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要に述べたように, 本報告者はオーストラリア国立大学(ANU)に初年度の大半を過ごした. 海外の研究者と共に検討を進められることが有意義な機会であったため, 本報告者が挙げている2つ目の課題である「打ち切りデータの未観測値の予測分布の優越性評価」を先行してスタートした. また, ANUに客員教員として滞在していたため, その多くの時間を研究に割り当てることができた. よって当初の計画以上の進展がなされた. 実施計画に挙げた1つ目の課題「一般化線形モデルに対するモデル評価基準の検討」に関しては, 初年度の早い段階での論文投稿を予定していたが, 新しくANUのメンバーが加わり, 新しい視点からの検討も加わったため, 実際予定していた論文投稿としては遅れた. しかしながら, ANUの研究者等との共同研究により, もともと計画していた内容よりも格段に深い研究となり, 研究としての厚みが増し内容の深さの進捗という観点からも充実した結果となったため, 進捗状況としては予定より進んでいるという判断をした. そして, 上述のように, 予定した論文投稿時期としては遅れたが, 初年度をかけて論文投稿の段階まで達成した. 投稿の時期は遅れたものの, その投稿論文を作成する段階の検討で, 次年度に関わる検討に関しても並行してANUの研究者等と検討を進められたので, 進捗状況は良しとした.
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要及び現在までの進捗状況に述べたように, 本報告者はオーストラリア国立大学(ANU)に初年度の大半を過ごし, ここで得た人脈はとても貴重なものとなった. そのため, 遠方となる協力体制ではあるが, ANUの研究者とは密に連携を取り, 研究の進捗を図りたいと考えている. 初年度も帰国直後に, Alan Welsh教授を本報告者の在籍大学に招聘したが, 次年度も国内での本課題の研究協力者である江島教授とも連携を取りつつ, ANUとの計画的な連携を検討している. ANUとの研究協力を継続するために, 2つの主な予定を立てており, 1つ目は, 9月にFrancis Hui先生および, 同大学のRobert Clark先生を本報告者所属の大学に招聘予定である. また2つ目としては, 次年度の12月に開催されるThe International Biometric SocietyのAustralia地域で行われているBiometrics by the Botanic Gardensと呼ばれる会議に参加し, 再びANUに短期滞在し研究を加速するつもりである. またこの国際会議では, 1つ目の課題の内, 一般化線形モデルのモデル評価基準に絡み, モデル選択および変数選択を同時に実行するLassoと呼ばれる縮小推定法に関連した推定法の研究を推進し, 本会議の発表に向けて検討を進める予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
実施計画に対して, 次年度に繰り越す金額は大きくなく, 次年度予定している旅費や招聘に関わる謝金などで出費予定である.
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