研究課題/領域番号 |
18K11200
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
黒沢 健 東京理科大学, 理学部第一部応用数学科, 准教授 (80582303)
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研究分担者 |
江島 伸興 京都大学, 高大接続・入試センター, 特定教授 (20203630)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 回帰相関係数 / エントロピー相関係数 / ベイズ型予測分布 / 打ち切りデータ |
研究実績の概要 |
本報告者は、初年度にオーストラリア国立大学(ANU)にて客員研究員として在籍し、本研究報告に関する研究をAlan Welsh教授、Francis Hui先生と共に研究を進めてきた。本年度は帰国後、引き続きの研究成果となる。実施計画であげたように、大きく分けて二つの課題がある。 1つ目の課題は、一般化線形モデルに対するモデル評価基準の検討である。そのうちの検討の一つであるサブ課題に対し、初年度でおおよそ完成していた論文を、本年度の初旬に論文として投稿をおこなった。そして、Francis Hui先生を招聘および報告者のオーストラリアへの訪問等によるディスカッションを経て、査読結果に対する検討を行い、改訂版の投稿までつなげた。本論文に関する結果は国際会議ISIにて発表を行った。また、研究分担者と共に、関連する基礎論文の投稿を行った。さらには、同課題内のサブ課題である、検定統計量の開発に関しても、同ANU研究者らと打ち合わせ行い、論文化に向けて少しずつ前進をしている。その結果も、国内の研究会にて発表を行った。また、更に別のサブ課題である縮小推定法に関する検討を別の国際会議で発表を行った。このサブ課題に関しては、前述の研究者およびRobert Clark教授も交えてディスカッションを進め、今度の方向性について議論した。更には、同研究に関連するロバスト推定法に関する新しい検討課題もディスカッションの中で創出した。 2つ目の課題は、ベイズ型予測分布の優越性評価に関するものである。本成果に関しても、上述のFrancis Hui先生の招聘、本報告者のオーストラリアの訪問時にAlan Welsh教授およびWade Blanchard教授を加えて検討を進めた。なお、本検討に関しても国際会議への投稿を行い、発表できることが決まっていたが、学会のキャンセルが決まり発表は見送ることになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績で説明したように、本年度は、初年度に研究を開始したトピックに関するまとめ、および論文投稿、発表が主な成果であった。論文採択を含んでいないため、おおむね順調としたが、内容としては当初の計画通りの進捗及び結果を得ている。また、計画当初に挙げていたサブ課題のうち、着手していないものもある一方、新しい課題の創出もあり、プラスマイナスとしてはおおむね順調に研究は進捗している。 ANUの研究者と共同で作り上げた論文は、本分野においては比較的長い論文として仕上げたため、最後の論文のまとめや、投稿の査読を受けてからの査読者からの対応もかなり時間を要した。しかしながら、丁度良いタイミングでFrancis Hui先生の来日や、本報告者のオーストラリア訪問が予定されており、対面でのディスカッションによる進捗の効率化をはかることができた。 また、この一つの課題だけではなく、サブ課題を含めると、多くの課題を同時並行して進めた。そのため、それぞれの進捗は必ずしも直線的に進んだわけではなかったが、検討時間を挟みつつ、効率的に研究は進捗した。相互的な関係もあるため、同時並行による研究の相乗効果も得ることができた。 また、課題全体では、多くの研究者が関わっており、それぞれの意見が反映される形で研究推進している。ディスカッションを重ね、研究としての価値を深める方向に進め、当初は予定していなかった課題も生まれつつ、全体的には良い形に仕上がってきている。 一つ残念なこととして、Alan Welsh教授が3月に報告者の勤務先に来校予定だったが、同時に予定されていた国際会議への参加が中止となり、直接会うことができず、大幅に研究を推進する機会を逃してしまった。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は、今年度検討していた検討結果のいくつかを論文化していく予定である。また、論文化だけにとどまらず、研究初期のものに関しては具現化をしていく予定である。検討課題は多くの研究者と一緒に研究推進しており、多くの課題に関わっている共同研究者であるANUのメンバーらと打ち合わせをする必要がある。電話会議等も考えられるが、効率性の観点から今年度の段階で対面での打ち合わせを予定していた。具体的には、少なくとも来年度の7月にオーストラリアで開かれるANZSC2020(投稿し発表が決まっていた)にて同研究者らと合流して打ち合わせをする予定であった。この会議は、実績概要にも記述したように、発表ができることは決まっていたものの、会議自体が1年の延期となり機会を逃してしまった。今後、コロナウィルスの状況で海外渡航が中断される可能性もあるが、その状況を十分に見極めつつ、電話会議等の代替手段によって、進捗をしていく予定である。また、来年度も一つ以上の国際会議に参加する予定であったが、その計画も立てられず、国際会議での発表も見合わせる可能性もある。発表に関わる研究成果という意味では、国内外問わず流動的な部分も多くある。実際、来年度の国内の発表に関しても取りやめの連絡があった。そのため、成果発表という部分は不透明であるが、論文化等の作業を進めることで、研究の進捗に大きく影響しないように配慮しつつ研究を推進したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
総支給額に対して次年度使用額はさほど大きな額とは言えず、計画の誤差の範囲内である。しかしながら、コロナウィルスの関係で来年度予定していた国内外の出張が予定通りに行けるか不透明な状況である。こちらの費用を履行できない場合は、参考書籍などの費用に充て、研究活性化の費用に充てていきたい。
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