最終年度は、1年延長して研究を実施した。研究課題は大きく分けて二つのテーマからなる。1つ目の課題は一般化線形モデルのモデル評価尺度に関連する研究である。研究課題期間中にAustralia National Universityにおいて在外研究(1年間)を実施した際に、ロジスティック回帰モデルにおける分離問題に関する議論を行い、分離状況に応じたモデル評価尺度の研究を推進した。分離が発生する状況においては、モデル評価尺度は正常に機能しない場合がある。なぜなら、応答変数と共変量からなるデータ空間において、正と負の応答変量を分離してしまう状況があり、モデルとしては良いと判断する。応答変数を共変量が分離しているため、モデルとしてもっともらしいと判断することは問題ないが、本来は有効な共変量とは限らない状況で小サンプルの分離構造をもったデータを取得する場合がある。その場合に、モデル評価尺度は正常に機能しない。そこで、Firthの方法やExact Logistic Regressionを利用したモデル評価尺度の提案を行った。 また、もう一つの課題は、予測分布の評価である。特に注目したのは、ベイズ型の予測分布である。様々なベイズ型の事前分布が提案されているが、ベイズ型の予測分布は事前分布の設定や、事前分布に設定する事前パラメーターが主観的に決められることから、どんな設定をするべきかが統計的な問題として掲げられる。また、通常の頻度主義的な予測分布と比べ、どちらが優れているのかを判断する必要がり、その予測分布の評価を行った。 上記研究に関連する結果として、研究分担者と共に論文1件の採択と、国際会議の発表3件、国内研究会の発表を4件、関連図書1件の執筆を行った。
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