研究課題/領域番号 |
18K11210
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 高士 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (70417369)
|
研究分担者 |
西澤 真一 福岡大学, 工学部, 助教 (40757522)
小林 和淑 京都工芸繊維大学, 電気電子工学系, 教授 (70252476)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 常時起動デバイス / 信頼性 / 経年劣化 / 特性ゆらぎ / IoT |
研究実績の概要 |
本研究は「高信頼性を要求される常時起動デバイス(集積回路、LSI)の特性変動の実測評価と動作レベルのモデル化」を行うことを目的としている。経年劣化や特性ゆらぎが性能に及ぼす影響は微細化・高集積化に伴って大きくなっている。経年劣化データの取得には温度や電圧などを上昇させる加速試験が一般的に行われているが、これには専用の高価な測定系を用いており長時間占有することはできず、多数のデバイスを測定しようとすると1つのデバイスに対しては長くても数時間程度の特性変動しか測定することができないという問題がある。そのため、近年爆発的に増えているIoT,IoEなどの常時起動が必要な機器において、マイコンやFPGAなどの低電力機器のみで測定系を組み長時間にわたる特性変動データを取得することは信頼できる劣化モデルの作成において必須である。このよう な低電力機器のみを用いて一般的なリング発振回路における連続する3週間程度の長期にわたる劣化データを様々な動作電圧や温度のもとで測定した結果を収集できるようになっている。また、リング発振回路と同じテクノロジを用いたトランジスタにおいて長期間劣化を含む劣化モデルの回路シミュレーション環境での表現方法(コンパクトモデル)を検討した。今後はCMOSテクノロジによる測定対象回路とその測定データ評価・活用手法の確立を行いたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
低電力機器のみを用いて一般的なリング発振回路における連続する3週間程度の長期にわたる劣化データを解析することが可能となっており、リング発振回路を構成するトランジスタレベルでのコンパクトモデルも作成した。次年度にCMOSテクノロジによる測定対象回路とその測定データ評価・活用手法の確立に向けて研究を進めてゆくことができるため。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は劣化モデルの回路シミュレーション環境での表現方法を引き続いて検討しつつ、劣化データを得るためのより望ましい回路構造の提案、CMOSテクノロジによる測定対象回路とその測定データ評価・活用手法の確立を目指す予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
チップ試作費用を支出せずに既存の一般的なリング発振回路およびトランジスタTEGを活用したため。チップ試作費用や測定データ収集システムを構成する機器類購入費用を次年度以降に確保しておくことにした。
|