研究課題/領域番号 |
18K11213
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高木 一義 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (70273844)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 論理回路 / 超伝導単一磁束量子デバイス / 設計自動化 / テストパタン生成 / タイミング故障 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、超伝導デバイスを用いた単一磁束量子ディジタル回路のためのテスト手法および高信頼化手法の開発を目的としている。本年度は、設計技術の現状の調査、回路の動作タイミングに着目した最適化手法、および、故障モデルの提案を行った。 まず、従来の単一磁束量子回路の設計自動化に関する技術をとりまとめ、設計上の課題を検討した。単一磁束量子回路はパルス論理に基づいて高速に動作することから、回路の高信頼化のためには、パルスが各ゲートへ到着するタイミングの調整が重要であり、また、回路のテス>トにおいては、パルス到着タイミングに起因する論理故障を扱う必要があることを改めて認識した。 この検討に基づき、回路が正しく動作するためのタイミング制約を満たす、回路の自動配置および自動配置のためのアルゴリズムを開発した。第1の提案手法では、短距離配線にジョセフソン伝送線路、長距離配線に受動線路を用いる混合配線を行い、配線遅延を最小化する。そのために、回路をブロックに分割し、ブロック内配線とブロック間配線を階層的に行う。サンプル回路に適用することにより有用性を示した。第2の提案手法は、受動線路を用いた配線における指定長配線アルゴリズムである。 また、実際のチップにおけるパルスの到着が設計で想定されたサイクルに対し遅れる、または早まる事象をタイミング故障としてモデル化した。このモデルに基づき、タイミング故障を検出するためのコンパクトなテストパタンを生成する手法を提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定していた、単一磁束量子回路の故障のモデル化の検討は十分に進められた。また、故障検出および診断のためのテストパタン生成手法の検討にも着手できている点は計画以上に進展している。一方、実際に設計されている回路のデータ解析は十分にできておらず、今後も進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
今年度検討したモデルに基づき、故障検出および診断のためのテストパタン生成手法を確立する。手法の基礎的な部分は既に設計できている。故障モデル、サイクルやタイミングの概念の扱い方などの洗練も続ける。実際の回路のデータ解析を進め、試作回路の測定、評価の準備を行う。
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