研究課題/領域番号 |
18K11217
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
福士 将 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (50345659)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ネットワークオンチップ / 耐故障ルーティング |
研究実績の概要 |
通信機能縮退型のネットワークオンチップ(NoC)ルータの構成方式を解明し,これを用いた非対称なルーティングの実現方法を確立することを目的に,以下の研究を行った. 1.非対称なルーティング法の改善 前年度に開発した通信機能が非対称なルーティング法において,任意の故障分布に対応可能にするために,ルーティングルールの改善を行った.目的地の方向に応じてパケットをクラス分けし,特定のクラスのパケットのみに有効に機能するような故障ブロックを定義することにより,許容可能な故障通信チャネル数を増加し,ルーティングルールを改善した.計算機シミュレーションによる性能評価を行い,改善前の手法と比較して,パケット転送時の平均遅延を最大で約73%削減可能であることを明らかにした. 2.故障ルータの通過に基づくルーティング法の開発 耐故障ルーティングの通信性能をさらに向上させるために,故障ルータの通過が可能なNoCルータを考案し,最も基本的な次元順ルーティングに基づく耐故障ルーティング法を開発した.本ルータおよびルーティング手法を用いることで,故障ルータを常に迂回するのではなく通過することが可能になり,パケット転送に目的地までの経路長を短く抑えることが可能になる.計算機シミュレーションによる性能評価により,既存の手法と比較して,ルータの利用効率を約7%向上可能であり,平均スループットを大幅に(最大約4倍)向上可能であることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度の目標は,非対称ルーティング法の許容可能な故障通信チャネル数を増加させるように改善することであり,これは上記で報告した通り,達成できたものと考える.さらに,故障領域の通過を可能にするNoCルータおよびルーティング手法も開発しており,当初の計画以上に進展しているものと考える.
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今後の研究の推進方策 |
本手法のアプローチを広く検証するために,混雑緩和のために適応的なルーティングが可能な手法,また,NoC向きの様々なトポロジに対応可能な手法へと拡張し,既存手法との性能比較を行うことで,当該分野における有効性を確認する.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は,主に,使用機材の予定の変更によるものである.次年度(2020年度)では,本年度未使用額を設備備品費として活用し,研究を推進する予定である.
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