研究課題/領域番号 |
18K11227
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
史 又華 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70409655)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | Energy Harvesting / 振動発電 / 高効率インターフェース回路 / 低周波 / 自電源回路 |
研究実績の概要 |
ウェアラブルデバイスの普及に伴い、圧電素子(=振動エネルギーから電気エネルギー変換素子)を人間の体に付け、人間の動作によって生成された振動から電力を抽出し、ウェアラブルデバイスの電力源として使用することが考えられる。本研究は人間がエネルギー源(例えば、踏む、歩く、漕ぐ、押すなどの動作による発電させようというもの)として圧電素子を用いた高効率なエネルギーハーベスティング (Energy Harvesting) インターフェース回路の研究開発を目指す。本研究開発の目標は、30Hz以下の人間の動作により1mW(=Wireless Sensorに必要な電力)以上の電力を生成することである。 本研究の初年度(2018年度)では、研究計画に記載した【研究項目1:自己駆動型スイッチング制御回路】の研究開発を実施した。既存研究では、スイッチング制御回路の消費電力とスイッチングタイミングがエネルギー変換効率を抑制している。結果として、人体の動作周波数である低周波帯域では、依然望ましいエネルギー変換効率が実現できない。そのため、2018年度では、従来研究における問題点の解決手法として、Phase-Shift回路による変位ピーク検出の概念を導入し、自己駆動型スイッチング制御回路を提案した。変位ピーク検出とは、圧電素子に加えられる振動が最大であるとき発生する電圧の最大値および最小値を検出することができる。提案回路では、変位センサとして圧電素子自体を使用し、適切なスイッチ制御信号が生成可能な自電源回路である。シミュレーション結果では、提案Phase-Shift 手法は従来のスイッチングタイミングより、振動周波数によって一定の位相差を挿入することで、入力周波数が共振周波数ではない時にも、より広帯域で高い出力電力が得られることが確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究計画に記載した【研究項目1:自己駆動型スイッチング制御回路(15ヶ月)】の研究開発を実施した。また、加振機を使って振幅・周波数を一定の振動や現実の人間の動作に対して、提案回路の実機評価も行った。以上より、本年度の研究状況は当初の計画通り順調に進んでいると考える。
|
今後の研究の推進方策 |
2019年では、まず提案した自己駆動型スイッチング制御回路の改良を行う。特に、高効率なインターフェース回路の設計技術や複雑な振動への対応技術について研究開発を行う。次に、1Hz~30Hzの現実的な人間動作に適用できる広帯域化設計手法の開発を行う。さらに、小型のEH回路の実機試作を検討する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
理由: 本助成金で実機検証のため電子部品や消耗品を計画していたが、既存備品を使用したため、次年度使用額が生じた。本研究には支障はなかった。 使用計画: 2019年度は、実機実証における部品などの購入を予定している。
|