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2021 年度 実施状況報告書

IPコア内のトロイ回路を特定するLSI設計技術に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K11228
研究機関京都産業大学

研究代表者

吉村 正義  京都産業大学, 情報理工学部, 准教授 (90452820)

研究分担者 細川 利典  日本大学, 生産工学部, 教授 (40373005)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードトロイ回路 / モンテカルロツリーサーチ
研究実績の概要

近年LSIの設計に,第三者が設計し提供するLSIの部分的な設計データ(以下IPコア)が広く使われている.本研究では,ブラックボックス化された設計データとホワイトボックス化された設計データの等価性を検証し,余分な機能が含まれていないことを明らかにし,LSIの設計に用いられるIPコアにトロイ回路が含まれていないことを示す手法を開発する.
今年度は「トロイ回路のトリガーに用いられる可能性の高い内部状態をモンテカルロツリーサーチを用いて探索する手法」についてプログラム作成を行った.対象としたトロイ回路は順序回路であり,通常動作では到達しにくい状態において,トリガー回路が起動する回路である.トロイ回路のトリガーに用いられる可能性の高い内部状態の探索は,大規模回路な回路において処理時間が指数的に増大するため困難である.そこで今年度は統計的な探索手法であるモンテカルロツリーサーチを用いて,通常動作では到達しにくい状態として,状態確率が0ではないが低い状態を求める手法を開発した.
開発した手法を小規模から大規模なベンチマーク回路に適用し性能について評価を行った.小規模な回路では,状態確率が0ではないが低い状態を正確に求められることを確認した.また中規模な回路では,従来の手法より短時間で状態確率が0ではないが低い状態を正確に特定できることがわかった.一方,現状のプログラムでは,大規模な回路は処理時間がかかった.これは開発したプログラムの一部に,スケーラブルでないアルゴリズムやソースコードが含まれているためである.これらを改良し,より効率的な探索手法するプログラムが必要であることがわかった.中規模,大規模回路に対する手法の開発は来年度の課題である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は小規模な回路では,トロイ回路が起動されやすい状態確率が0ではないが低い状態を求めることができた.一方,中規模から大規模な回路ではトロイ回路が起動されやすい状態確率が0ではないが低い状態は,処理時間がかかったため,求めることができた回路と求めることができなかった回路にわかれた.
中規模,大規模回路に対する手法の開発は来年度の課題である.この課題を解決するために,探索の効率化と昨年度から回路を複数に分割し,細分化した回路ごとに状態確率を求め,全体の回路の各状態の状態確率を求める手法を開発している.この追加開発した手法を用いることで,当初の研究成果を達成できると考えている.

今後の研究の推進方策

令和4年度(2022年度)は計高速な算機を導入し,仮説の立案と検証を高頻度に実践できるよう取り組む.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ禍の影響で,研究体制がうまく構築できなかった.そのため,研究の進捗が滞ってしまった.
次年度は新型コロナ禍の元でも研究が促進できるよう,計算機環境の刷新を含めた研究体制の構築をはかる.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021

すべて 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 無効状態を含んだコントローラの遷移故障検出率向上指向状態割当て法2022

    • 著者名/発表者名
      飯塚恭平, 細川利典, 山崎紘史, 吉村正義
    • 学会等名
      ディペンダブルコンピューティング研究会
  • [学会発表] 論理故障テスト並列化のための制御信号のドントケア割当て法2022

    • 著者名/発表者名
      徐 浩豊, 細川利典, 山崎紘史, 新井雅之, 吉村正義
    • 学会等名
      ETNET2022
  • [学会発表] An Additional State Transition Insertion Method to Improve Transition Fault Coverage for Controllers2021

    • 著者名/発表者名
      Kyohei Iizuka, Toshinori Hosokawa, Hiroshi Yamazaki and Masayoshi Yoshimura
    • 学会等名
      IEEE The Workshop on RTL and High Level Testing 2021
    • 国際学会
  • [学会発表] 低消費電力指向多重目標故障テスト生成法2021

    • 著者名/発表者名
      三浦 怜, 細川利典, 山崎紘史, 吉村正義, 新井雅之
    • 学会等名
      第6回 Winter Workshop on Safety

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公開日: 2022-12-28  

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