研究課題
本研究の目的「揮発性メモリと不揮発性メモリが共存するメモリ構成、およびメモリとはアクセス単位が異なる外部記憶装置からなるシステム構成において、不揮発性メモリの特徴を生かし、実行プログラムの性質を考慮した高速なプログラム実行制御法を確立する」に向け、平成31年度は、以下の実績を得た。(A)新ファイル形式を用いてデータ複写を削減する機構の実現:平成30年度に提案した新たな実行プログラム形式OFF2F(Object File Format consisting of 2 Files)について、データ複写を削減する機構を考案し、ページ例外処理の処理時間の定式化と分析を基に、FreebsdオペレーティングシステムのOS初期化処理およびプログラム圧縮処理について、実行するプログラムを明らかにし、ページ例外処理の処理時間を明確に(数値化)することで、新ファイル形式の有効性を明らかにした。さらに、下記に示すシミュレーション環境に、新ファイル形式を用いてデータ複写を削減する機構を実現した。(B)実現評価環境の構築:不揮発性メモリの研究が進んでいるものの、まだ実用計算機としては登場していない。また、その性能は不十分であり、かつ高価格である。このため、既存計算機を用いて不揮発性メモリを搭載した計算機のシミュレート環境を構築した。具体的には、揮発性メモリの一部をOSが使用しないメモリ(OS管理外のメモリ)とし、電源をOFFしないでOS再移動により、OS管理外のメモリを不揮発性メモリとして疑似するものである。また、この環境を利用して、OFF2Fプログラムの実行性能の評価を行い、その効果を明らかにした。これらにより、順調に計画を進めている。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画は、「(C)実現評価環境の構築:不揮発性メモリの・・・シミュレート環境を構築する。その後、実用計算機を購入し、実装評価する。」である。しかし、不揮発性メモリの研究が進んでいるものの、まだ実用計算機としては登場していない。また、その性能は不十分であり、かつ高価格である。このため、今年度に当該計算機を購入し研究することはできなかった。そこで、代替え措置として、既存計算機を用いて不揮発性メモリを搭載した計算機のシミュレート環境を構築した。また、この環境を利用して、OFF2Fプログラムの実行性能の評価を行い、その効果を明らかにした。このため、おおむね順調に進展していると判断する。
現在までの進捗は「おおむね順調に進展している」と判断できる。しかし、計画では、不揮発性メモリを搭載した実用計算機の登場を平成31年度と予想し、購入して提案機構を実装評価する予定であった。しかし、不揮発性メモリの研究が進んでいるものの、まだ実用計算機としては登場していない。また、その性能は不十分であり、かつ高価格である。このため、今年度に当該計算機を購入し研究することは難しい。一方、現在の計算機では、メモリキャッシュの効果が性能に大きな影響を与える。そこで、実メモリが揮発性か不揮発性かによりアクセス速度が異なるものの、メモリキャッシュへのヒット率は同様であると仮定でき、これにより、シミュレート環境に実現した機構を用いて評価を行うこととする。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)
情報処理学会論文誌
巻: vol.61, no.3 ページ: pp.707-717
nternational Journal of Machine Learning and Computing
巻: vol.9, no.4 ページ: pp.387-392
http://doi.org/10.18178/ijmlc.2019.9.4.815