研究課題/領域番号 |
18K11245
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
天野 浩文 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 准教授 (80231992)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | シングルレベルストレージ / 次世代NVRAM / SSD / HDD / ストレージ仮想化技術 |
研究実績の概要 |
本研究は,次世代不揮発性メモリ(次世代NVRAM)・半導体ドライブ(SSD)・ハードディスクドライブ(HDD)の3種類の記憶媒体の間で,アクセス頻度の変化等に応じてデータの自動再配置を行うシングルレベルストレージシステムの実装方式を確立し,その効果を確認することを目指している.このシングルレベルストレージシステムは,アクセスされていない間にも再配置を行う自律的・能動的な動作を必要とする.ところが,これまでのOSに搭載されてきた各種デバイスドライバは,呼び出されたときにだけ受動的に動作するルーチンとして構成されているため,ここに常時稼働する能動的な動作を組み込むことは容易ではない.また,迅速なプロトタイプ構築を行う上でも,OSの伝統的なデバイスドライバを改造することは効率的ではない. そこで,本研究では,ストレージ仮想化技術の一つであるiSCSI(internet SCSI)におけるターゲットのオープンソース実装であるtgtデーモンを改造することによってシングルレベルストレージシステムを試作することとした.また,マザーボード上のメモリスロットに装着可能な次世代NVRAM製品の利用が難しかったため,DRAMによる主記憶の一部を用いて次世代NVRAMのエミュレーションを行うこととした. 初年度は,これによる疑似ボリュームとSSD・HDDを統一的に扱うブロックアドレスマッピング機構を実装した.予備的な実験により,このプロトタイプがSSDやHDDよりも高い応答性能を達成できることを確認した.同時に,次世代NVRAMに十分な空き領域がなくなると性能が大幅に低下することも確認できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プロトタイプを開発し,予備的な実験により本構想の有効性を確認するところまでは達成できた.また,2年目以降に取り組むべき課題も明らかとなった.しかし,この研究成果を外部に公表するところまではいたらなかった. このため,「やや遅れている」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
初年度のプロトタイプでは,データブロックの自動再配置機能を,ターゲットがコマンドを受け取ったときに呼び出される部分に追加実装した.次世代NVRAMの空き領域がなくなると,書き込み要求のたびに再配置を行って必要な空き領域を確保する必要が出てくるため,大幅に応答性能が低下してしまう.これを防ぐためには,アクセスされていないときに能動的に再配置を行って常に十分な空き領域を確保しておく必要がある. そこで,今後は,初年度のプロトタイプに対して,バックグラウンドで次世代NVRAMの空き領域を確保するための改良を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
マザーボードのメモリスロットに装着可能な次世代NVRAM製品が平成30年度中に入手可能となる可能性があったため,それを待ってプロトタイプ実装に取りかかることを計画していた.しかし,時間の制約等の理由から,最終的には既存のDRAMを用いたエミュレーションにより試作を行うこととなった.さらに,研究代表者の病気治療も重なって研究の進行が当初計画よりもやや遅れることとなり,研究成果発表も行うことができなかった.このために物品費・旅費・その他に未使用額が発生した. 2年目以降は,この遅れをできる限り取り戻すことにより,次年度使用額を消費していく所存である.
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