研究課題/領域番号 |
18K11246
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
天嵜 聡介 岡山県立大学, 情報工学部, 助教 (00434978)
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研究分担者 |
阿萬 裕久 愛媛大学, 総合情報メディアセンター, 准教授 (50333513)
横川 智教 岡山県立大学, 情報工学部, 准教授 (50382362)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | プロジェクトデータの均質化 / 工数見積もり / 不具合モジュール予測 |
研究実績の概要 |
今年度は研究実施計画に挙げた3項目のうち、「プロジェクトデータの均質化」と「多重化と均質化の融合」に取り組んだ。 プロジェクトデータの均質化とは、古いプロジェクトデータを直近のプロジェクトデータと似通った特徴を持つように変形することである。これまで古いという理由で除外していたデータを利用可能にすることが目的である。昨年度、不具合モジュール予測手法向けに提案された変形手法がプロジェクトデータの「鮮度」の観点からみて有効であるか検証を行なったが、今年度は他組織のデータを利用できるかなど新たな観点からも評価を行った。この成果については国際論文誌で発表済みである。また、昨年度、不具合モジュール予測向けのオープンな実装が工数見積もり向けに流用できることが明らかになったため、今年度は流用に伴うコードの改変に取り組んだ。一部の変形手法は容易に流用できたため、工数見積もりにおける効果を調査した。その結果、それらは工数見積もりにおいて大きな性能向上をもたらすものではないことが確認できた。この成果については査読あり国際会議で発表済みである。 「鮮度」に対する重み付けの多重化とプロジェクトデータの均質化の融合については、手法を組み合わせた場合の影響などについて予備調査を行った。多重化については申請者が提案し有効性が確認できている手法を採用した。均質化については先行研究で提案された手法の1つを採用した。予備調査では、「鮮度」に対する重み付けの多重化が有効であることが確認済みのデータにおける見積もり精度の変化に着目した。調査の結果、プロジェクトデータの均質化でも見積もり精度が向上することが確認できた。一方で、鮮度を考慮しつつプロジェクトデータを均質化するとお互いの効果が打ち消される事象が確認された。この結果については査読あり国際会議で発表済みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画に挙げた3項目のうち、「プロジェクトデータの均質化」について、不具合モジュール予測向けの変形手法を工数見積もりに適用できた。大きな性能向上をもたらすものではなかったものの多少の効果は確認できた。オープンな実装に多数の不具合が発見されて現在も改変作業を実施中ではあるが、大きくは遅れないと見込んでいる。 「多重化と均質化の融合」については、特定の手法同士ではあるものの、相乗効果が確認できなかった。性能向上の面では課題となる一方で、手法の間で何かしらの効果が干渉していることを示唆しており、組み合わせる手法によっては相乗効果が見込めると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、「プロジェクトデータの均質化」、「鮮度の多重化」の効果を実証的に明らかにしていく。「プロジェクトデータの均質化」については、不具合モジュール予測手法向けに開発された同種のアプローチを工数見積もり向けに適応する作業を継続する。「鮮度の多重化」については先行研究の調査はほぼ完了しており、実装と評価実験を実施する。令和元年度に行った実験によって、鮮度を考慮しつつプロジェクトデータを均質化するとお互いの効果が打ち消される事象が確認されている。他の均質化手法でも同様の現象が観察されるか検証を行う。 以上の結果を踏まえ、均質化と多重化の組み合わせ方法について検証を行う。そして、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 当初,分析システムを稼働させる計算機の購入を計画していたが、プロジェクトデータの均質化に利用を検討しているオープンな実装のうち、非常に計算時間がかかる手法が存在することが判明した。 昨年度、必要な性能の再検討を行う予定であったが実装に不具合が多数発見されたため一時中断した。 (使用計画) 修正が完了次第、評価を行い購入する計算機を決定する。
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