研究課題/領域番号 |
18K11260
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
張 熙 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (40251706)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | グラフ信号処理 / ビッグデータ / 信号処理理論 / グラフフィルタ設計 |
研究実績の概要 |
グラフは,データの一般的な表現形式であり,その幾何的構造を記述するために有用である.ソーシャルネットワーク、センサーネットワーク、ニューラルネットワーク、エネルギーネットワーク、交通網などのようなアプリケーションでは,高次元データは,自然に重み付きグラフの頂点上に存在する.さまざまなネットワークから集められた膨大な量のデータから有用な情報を抽出する必要がある.そのため,有用な情報を効率よく抽出するための革新的なアプローチが必要不可欠である. グラフ信号処理の目的は,さまざまなグラフ信号に対し,効率的な保存・伝送・解析の手段を提供することである.従来の信号処理と同様に,フィルタリング、ノイズ除去や圧縮などの応用が考えられる.今年度では,従来の信号処理における強力な解析ツールであるフーリエ変換やウェーブレット変換などをグラフ信号処理への拡張を目的とし,グラフウェーブレットフィルタバンクの新しい設計法を提案した. 従来の信号処理における線形位相FIRウェーブレットフィルタバンクから,多項式変換を用いてグラフウェーブレットフィルタバンクを設計する.偶数次の線形位相FIRフィルタの場合,多項式変換より,多項式で表現できるグラフフィルタが容易に得られるが,奇数次の線形位相FIRフィルタからは,単に多項式変換で得られたグラフフィルタは,多項式で表現することができない. そこで本研究では,奇数次の線形位相FIRフィルタについて,多項式変換と因数分解の手法を用いて,多項式で表現できるグラフウェーブレットフィルタバンクを設計した.さらに,提案したこれらのグラフウェーブレットフィルタバンクを画像処理に応用した. 画像の各画素をグラフの頂点と見なし,画素間を異なる形で連結してグラフを作成した.作成したグラフによる画像処理の性能を評価した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度では,研究はおおむね順調に進んでいると思います. 従来の信号処理における偶数次の線形位相FIRウェーブレットフィルタバンクから,多項式変換を用いてグラフウェーブレットフィルタバンクを設計した.また,奇数次の線形位相FIRフィルタから,多項式変換と因数分解の手法を用いて,多項式で表現できるグラフウェーブレットフィルタバンクを設計した.さらに,画像の各画素をグラフの頂点と見なし,画素間を異なる形で連結してグラフを作成し,提案したこれらのグラフウェーブレットフィルタバンクを画像処理に応用し,画像処理性能を評価した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,グラフウェーブレットフィルタバンクの新たな設計法を考案し,フィルタバンクの性能を改善する.また,設計したグラフウェーブレットフィルタバンクを画像の圧縮やノイズ除去などに応用すると同時に,ビッグデータへの応用も視野に入れて研究を進めたいと考えております.
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