研究課題/領域番号 |
18K11260
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
張 熙 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (40251706)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | グラフ信号処理 / 画像圧縮 / グラフウェーブレットフィルタバンク / グラフ作成法 / サンプリングパターン |
研究実績の概要 |
グラフは,データの一般的な表現形式であり,その幾何的構造を記述するために有用である.ソーシャルネットワーク、センサーネットワーク、ニューラルネットワークなどの応用では,高次元データは,自然に重み付きグラフの頂点上に存在する.さまざまなネットワークから集められた膨大な量のデータから有用な情報を抽出するため,効率よく処理する革新的なアプローチが必要である. グラフ信号処理の目的は,グラフ信号に対し,効率的な保存・伝送・解析の手段を提供することである.従来の信号処理と同様に,フィルタリング、ノイズ除去や圧縮などの応用が考えられる.昨年度までは,従来の信号処理における強力な解析ツールであるウェーブレット変換などをグラフ信号処理へ拡張し,グラフウェーブレットフィルタバンクを設計した.今年度は,グラフウェーブレットフィルタバンクを画像圧縮へ応用し,グラフの作成と様々なサンプリングパターンについて調査した. 今年度では,新型コロナウイルスの影響で研究があまり進めることができなかったが,画像圧縮の応用において,画像中のエッジを考慮して,様々なサンプリングパターンを作成し,それらの画像圧縮性能を調査した.その結果から,エッジを跨ってグラフを作成すると,圧縮性能が低下することが分かった.その見地から,エッジの方向(角度)に沿って画素間を連結することで,それぞれ4パターンのサンプリングが最も良い圧縮性能を示した.それより,画像をブロック分割し,各ブロック内のエッジ方向(角度)に適したサンプリングパターンを選択する方法を提案した.提案法より,複雑な画像でも局所的なエッジにも対応できるようになった.また,圧縮性能を調査し,従来の方法と比較して良好な結果が得られた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度では,新型コロナウイルスの影響で,やや遅れていると思います. 年度前半は,大学キャンパスの閉鎖より,研究室に来ることができず,また,予定された学会などは,相次ぎ中止になった.後半は,キャンパスが開放となり,研究ができるようになった.主に,画像圧縮への応用として,各画素をグラフの頂点と見なし,画素間を異なる形で連結してグラフを作成した.その際,様々なグラフを作成し,異なるサンプリングパターンの画像圧縮性能を調査した.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,グラフウェーブレットフィルタバンクをさらに改善し,また,グラフの作成とサンプリングパターンについても引き続き調査する.また,グラフウェーブレットフィルタバンクを画像の合成やノイズ除去などにも応用する.さらに,得られた成果を学会に発表する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響より,研究がやや遅れているため,そして,学会などが中止となり,研究発表ができなかった. 次年度では,状況により,積極的に成果を発表する予定です.
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