研究課題/領域番号 |
18K11270
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
勝間 亮 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (80611409)
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研究分担者 |
安本 慶一 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (40273396)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 位置推定 / SLAM / カメラ画像 / モニタリング |
研究実績の概要 |
2019年度は,山林における移動式監視カメラを使った自律型モニタリング手法を実現するため,カメラ撮影の障害となる木の位置を大まかに推定する方法を提案した.カメラ画像から物体の位置を特定する方法の代表例としてはSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)があるが,山中ではノイズの混入や周囲の明暗などにより特徴点を抽出しにくく,誤差を激しく含む場合がある.そこで本研究では,光の直進性を利用した低コストな障害物判定方式を提案し,SLAMの誤った特徴点の集合を特定し,障害物の位置をより正確に推定できるようにした.提案した障害物判定方式はロープウェイ式カメラモニタリングシステムの特徴を活かして,ロープ上の各地点ごとに撮影を行い,他のカメラを撮影できているか調べる.他のカメラを撮影できていればその間に障害物がないことが確定する.このようにカメラを動かして障害物の存在する可能性のある範囲を狭めていく. 障害物となる1本の木の周囲に高さが同一の2本のロープが平行に設置されており,その各ロープ上に1台ずつカメラを設置した環境において,提案方式によってORB-SLAM2の誤った特徴点をどの程度検出できるかについて実測実験を行った.その結果,誤った特徴点のうち95.7%の検出に成功した.また,障害物が複数存在する環境についてシミュレーションした結果,提案手法は92%以上の精度を達成することが確認できた. また,室内限定ではあるが,障害物のある環境でのBluetoothの電波遮断が起きる環境での位置推定方式についても提案した.近距離電波通信を利用した位置推定が電波遮断によって精度が悪化する問題は屋外でも起きるため,この技術をGPSと併用させるように発展させることで,各ノードは自身の位置をより正確に求めることができると期待する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
山林における移動可能なカメラを用いたロープウェイ式モニタリングでは,カメラを備えたノードの移動性を決定づけるためのロープの位置決定と,撮影の障害となり得る木の位置を特定することが重要である. 2018年度は効率的なロープの設置位置を決定する手法を提案し,より低コストで広範囲のモニタリングができるようになった.2019年度はノード同士が協調することによって障害物の位置を知る方法について提案した.障害物の少ない限定された環境ではあるが実測による効果の確認ができた.また,シミュレーションによって,多くの障害物が存在する環境でも効果が出ると期待できる結果を得ることができた. 今年度の目標として設定していたノードが障害物の位置を知る方法を確立することについて大きく解決に近づいたことから,順調に研究を進めることができていると評価する.
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今後の研究の推進方策 |
本研究での最終目標は,各カメラが樹木などの障害物の位置を自動的に判断して回避する高度なモニタリングが可能なシステムを開発することである.この目的を達成するために解決するべき課題は,(a)ロープを張る位置を適切に決定すること,(b)ノードが自身と周囲の他ノードの位置を知ること,(c)ノードが障害物の位置を知ること,(d)各種位置情報から各ノードが協調してどの位置に移動するべきかを自律的に決定することが挙げられる. 2018年度は課題(a)を解決し,2019年度は課題(c)の解決に大きく近づいた. 最終年度は課題(c)を満足に解決することと,(b)と(d)を解決することを目標として,検討を進めていく.
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