研究課題/領域番号 |
18K11272
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研究機関 | 東北工業大学 |
研究代表者 |
工藤 栄亮 東北工業大学, 工学部, 教授 (80344696)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 位置推定 / マルチセンシング情報 / IoT / ZigBEE |
研究実績の概要 |
本研究では,屋内において,受信電力ばかりでなく,温度,湿度,照度等のマルチセンシング情報を用いる位置推定法を確立することを目的としている.本研究期間では,①位置推定アルゴリズムの高精度化,②マルチセンシング情報の拡張,③位置推定エリアの拡張を実施した. ①位置推定アルゴリズムの高精度化:高度が異なるエリアにおいて複数のアクセスポイント(AP)からの受信電力と温度,湿度,照度を用いて,MMSE法による屋内位置推定を行い,マルチセンシング情報が位置推定精度に与える影響を求め,今回の実験では,位置推定精度の向上に最も寄与したものが照度であり ,次いで,湿度,温度の順であることを明らかにした.さらに,これまでは,取得したデータをもとに,オフラインで後から位置推定を行っていたが,本研究期間では,2台のセンサを用いて,リアルタイムで動作するシステムを開発し,基本動作を確認した. ②マルチセンシング情報の拡張:我々はこれまでに温度,湿度,照度,気圧,APからの受信電力を用いて位置推定を行ってきた.ところで,これらのセンシング情報は,障害物や人によっても変わることが予想される.そこで,本研究期間では,機械学習を用いて,画像から人数を求める基礎実験や,ステレオカメラを用いて,障害物までの距離を求める基礎実験を行った. ③位置推定エリアの拡張:我々はこれまでに2次元エリアにおける機械学習を用いる位置推定アルゴリズムを提案し,小教室における屋内実験により,教師データの学習順序にかかわらず,良好な位置推定を行うことができることを示したが,本研究期間では,大教室においても,良好な位置推定を行うことがきることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
位置推定アルゴリズムの高精度化については,当初予定していた機械学習を用いる位置推定アルゴリズムを高度が異なるエリアに拡張することはできなかったものの,マルチセンシング情報が位置推定精度の向上に寄与する影響を求め,2台のセンサに対して,リアルタイムで動作するシステムの基本動作を確認でき,おおむね予定どおりの進捗が得られた. マルチセンシング情報の拡張については,コロナ禍や地震の影響により,大教室や体育館を利用する実験ができなかったため多数のAPを利用する位置推定は行えなかったものの,人数を求めたり,障害物を求めるための基礎実験を行った.全体的には,予定どおりの進捗が得られた. 位置推定エリアの拡張については,コロナ禍や地震の影響により,1つの大教室のみで基本的な実験しか行うことができず,予定した進捗は得られなかった. 以上,全体的に判断するとおおむね順調な進捗が得られていると考える.
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今後の研究の推進方策 |
今後も,①位置推定アルゴリズムの高精度化,②マルチセンシング情報の拡張,③位置推定エリアの拡張を目指して研究を行う. ①位置推定アルゴリズムの高精度化:,温度,湿度,照度,気圧,APからの受信電力を用いて位置推定を行ってきたが,これらのマルチセンシング情報は時間変動する.そこで,時刻も考慮する高精度化アルゴリズムについても検討する.また,昨年度2台のセンサに対して基本動作を確認したリアルタイムで位置推定を行うシステムを,より多くのセンサに対し動作可能なリアルタイムシステムに拡張する. ②マルチセンシング情報の拡張: これまでは,温度,湿度,照度,気圧,APからの受信電力を用いて位置推定を行ってきたが,これらのマルチセンシング情報は天候や人などの環境によっても変動する.そこで,人等の環境情報の取得法について検討する. ③位置推定エリアの拡張:これまでは,本学建物の4~6階,小教室や廊下を中心に位置推定を行ってきた.今年度は,より広いエリア(1~6階),大教室や体育館等様々なエリアにおける位置推定法について検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により,国際会議,国内会議等が開催中止あるいはオンライン開催となり旅費を支出できなかったため,次年度使用が発生した.今後は実験物品を優先して購入する.
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