研究課題/領域番号 |
18K11275
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
久保 亮吾 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (00582199)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | サイバーフィジカルシステム / 通信ネットワーク / システム制御 / セキュリティ / 省エネルギー |
研究実績の概要 |
各種インフラを統合したスマートインフラの実現を目指し、物理空間のセンサ・アクチュエータとサイバー空間との間のインタラクションを実現するサイバーフィジカルシステム(CPS:Cyber-Physical System)に関する研究が注目されている。CPSは、主として情報通信技術(ICT:Information and Communication Technology)と制御技術から成り立っているが、情報通信と制御の融合によるシステム全体の最適化という観点からすると、情報通信と制御の融合設計(Co-design)が十分になされているとは言い難い。各種インフラにおける情報通信システムと制御システムのCo-design手法を確立し、シームレスなインフラ統合を可能とするサイバーフィジカルICT基盤を構築することを目的として、本年度においては以下のような研究成果を得た。1. 制御システムの性能をQoP(Quality of Performance)として定式化し、QoPを考慮したネットワークQoS(Quality of Service)制御手法を提案した。2. フィードバック制御システムにおける改ざん攻撃に対処するため、ネットワーク経路の冗長化による多数決に基づいた改ざん検知手法を提案した。3. 省エネルギーネットワークインタフェースを有する制御システムにおける遅延およびデータ損失補償技術を提案した。以上のように、本年度は、情報通信と制御のCo-designを実現するための基盤となるQoS制御技術、サイバーセキュリティ技術、低消費電力化技術の検討を行い、シミュレーションを中心に提案手法の評価を実施した。今後は、提案手法の実機検証を進めるとともに、国際会議および学術雑誌において成果発表を行っていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
制御システムの安定性や性能に影響を与える情報通信ネットワークのQoS保証技術、サイバー攻撃等に対処するためのセキュリティ技術、ネットワークの高速・大容量化により急増しているエネルギー消費に対処するための省エネルギー化技術の検討を並行して実施しており、当初計画通りに進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、これまで得られた成果をもとに実機検証を進めるとともに、情報通信システムおよび制御システムが相互協調可能なシステム設計についても検討を行っていく予定である。また、学術雑誌への投稿をより積極的に進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
サイバーセキュリティ技術の検討において、当初想定しなかった課題についても検討を行うこととしたため、実機検証の準備に必要な物品に関する支出を次年度に延期した。次年度は、当該予算を利用して実機検証の準備を進めるとともに、当初予定よりも多くの国際会議発表を行う。
|