各種インフラを統合したスマートインフラの実現を目指し、サイバーフィジカルシステム(CPS:Cyber-Physical System)に関する研究が注目されている。CPSは、主として情報通信技術(ICT:Information and Communication Technology)と、制御技術から成り立っているが、情報通信と制御の融合によるシステム全体の最適化という観点からすると、情報通信と制御の融合設計(Co-design)が十分になされているとは言い難い。各種インフラにおける情報通信システムと制御システムのCo-design手法を確立し、シームレスなインフラ統合を可能とするサイバーフィジカルICT基盤を構築することを目的として、本年度においては以下のような研究成果を得た。1. 省エネルギーネットワークインタフェースを有する制御システムにおいて、QoP(Quality of Performance)に基づく可変スリープ時間制御を提案し、定常誤差を一定レベルに保った上で通信時間を削減できることをシミュレーションにより確認した。2. QoE(Quality of Experience)に基づく映像ビットレート制御において、ビットレート量子化の影響を軽減する手法を提案し、シミュレーションにより提案手法の有効性を確認した。3. 複数の通信経路におけるネットワーク品質を推定し、適切なネットワーク経路の選択を行うCQEO(Communication Quality Estimation Observer)を提案し、シミュレーションにより提案手法の有効性を確認した。以上のように、本年度は前年度に引き続きネットワーク化制御システムの低消費電力化技術および高信頼化技術の検討を行うとともに、これまで得られた成果の論文化に注力した。
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