研究課題/領域番号 |
18K11278
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
小川 将克 上智大学, 理工学部, 教授 (90624411)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 無線LAN / CSI / 行動推定 / 位置推定 / 物質識別 |
研究実績の概要 |
2020年度の研究実績は,論文誌1件,国際会議1件,研究会・大会3件であった.このうち,論文誌は2019年度に実施した屋外での群衆行動を無線通信のチャネル状態情報(CSI: Channel State Information)により識別する研究である.国際会議や研究会・大会は,チャネル状態を利用した位置検出,物体識別,物体識別に関する研究成果の発表である. 2020年度は,新型コロナウイルス感染防止対策として,密になることを避ける必要があったために,群衆状態での実験を実施できなかった.密になることを避けられる内容に変更して,これまで延長であるチャネル状態情報を利用した識別の検討を行った. 具体的には,行動推定,位置推定,物質識別についてである.2019年度実施との主な差異は,送受信アンテナ本数による推定精度の違いであり,アンテナ数を増加すると,伝送路数が増加するため,チャネル状態の変化を面的に捉えることができ,行動推定,位置推定,物質識別の全てにおいて推定精度が向上することを明らかにした. また,2019年度実施結果より,物体の大きさが異なれば識別可能であることが明らかになったため,2020年度は同一筐体内の物質識別について検討を行った.検討の結果,同一筐体であっても筐体内の物質が識別できた.物質が同色である場合,カメラでは識別できないが電波を利用すれば識別できることが明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は,新型コロナウイルス感染防止対策として,密になることを避ける必要があったため,群衆状態での実験を実施できなかった.しかし,チャネル状態情報(CSI: Channel State Information)を利用した多様なサービスを開拓するための検討を実施できたため,これらの結果を群衆行動推定に活用する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
群衆状態での実験を実施できるのかは,新型コロナウイルスの感染状況に依存するため,群衆行動推定の検討を行いつつ,多様なサービス創出のためにチャネル状態情報(CSI: Channel State Information)を利用した研究を進める予定である. 国際標準化としては,IEEE802.11WGでTask Group bf(WLAN Sensing)として規格策定が進められているため,動向調査を行うとともに,チャネル状態情報を取得可能なツールの導入や分析を行い,ユーザの動きや物質の状態の推定を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染防止対策として,緊急事態宣言が発動されたことがあり,実験を実施できない期間が生じたために,次年度使用額が生じた. 来年度は,実験機材を購入して,実験環境を拡張させる予定である.
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