研究課題/領域番号 |
18K11279
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研究機関 | 東京家政大学 |
研究代表者 |
小池 新 東京家政大学, 人文学部, 教授 (40650445)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 間欠通信 / ロボティクス / オーバーレイノード / 制御情報配信 / 位置情報 / Quality of Control / サービスアーキテクチャ |
研究実績の概要 |
間欠通信環境下にあるネットワーク環境の下で,効率的なネットワークを利用した情報処理やコンテンツ配信を実現するシステムアーキテクチャの詳細化に向けて,(1)ロボティクス機器の遠隔制御とネットワーク制御との関係をさらに明らかにするともに,(2)間欠通信が発生する状況として考えられるシナリオ追加の検討と,その状況に応じた対策をアーキテクチャと制御方式との両面で検討した. (1)令和2年度までの3年間で検討した移動しながら制御行うロボティクス機器についての,間欠性が生じうる環境でのユースケースシナリオでの考察の結果,ロボティクス機器の動作の安定性や可動性を担保するための多様なQuality of Control(QoC)の尺度の存在を明らかにしてきた.QoCとして考慮すべき尺度は,対象とするアプリケーションの特性と使用するネットワーク環境に大きく依存する.特にQoCの尺度として時間情報をもとにした間欠率という尺度を提案していた.しかしこれ以外にも多くの尺度が考えられる.そのため,可能な限り網羅的にユースケースを考察するために,新たにパケット損率を元にした短時間変動で必要となるQoCの尺度を,間欠率の概念を適用して明らかにすることを試み,その結果を研究会で報告した. (2)間欠性の評価のためには,ネットワークの性能だけではなくロボティクス機器の制御と,ネットワーク制御とのシームレスな連携が必要であることをこれまでの研究で明らかにしてきた.これらの検討のまとめとして,間欠通信の形態についての分類やそれぞれの品質尺度の考え方をロボティクス機器制御との関連のシナリオを含めて実施中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定の3年間での研究計画全体は次の3つの観点としていた: (1) ドローンをはじめとした遠隔操作を必要とする種々のロボティクス機器の,遠隔操作に与える性能要件の明確化や可能性を明らかにすることの検討,(2)ロボティクス機器の制御ソフトウェア構造の分析による,ロボティクス機器から機能として切り出すことが可能なネットワーク制御部分の抽出と,それに基づくアーキテクチャの検討,(3) 様々な間欠的な通信となる環境を想定したネットワークの中で総合的に,連携させた評価を行い,アーキテクチャのさらなる明確化と必要な機能,そしてサービスの実現可能性について検討. この3点の現在までの成果は次の通りである: 今後の遠隔制御を伴うロボティクスサービスでは,多様な新たなネットワークを活用する.このサービスでは,従来のネットワークサービス以上に,実現するサービス自身の品質とネットワークの品質との関係を明らかにする必要性を示した.特に従来インターネットを利用したサービスとの差異として,品質の考え方の違いを次のように整理した.従来のネットワーク利用型サービスでは,サービスのほうをネットワーク品質に合わせ適応される形態で構築し,その結果サービス性への制約が生じていた.しかし,ロボティクスサービスでは,ロボティクス機器が動作すること自体が要件となり,その要件を満たすために必要な部品であるネットワーク品質をいかに実現するかが重要となる.この要件を間欠通信が行われているネットワーク環境に適用した際の,ロボティクス機器のサービス形態に応じて特有の品質尺度を明らかにして,サービス形態における分類を行なった.さらに網羅性を高めるため想定環境を拡大した. しかしながら,事例研究の体系的な整理を行う必要があり,また品質尺度の明確化の効果を示す必要があるが,数値的裏付けが十分でなく,成果の論文化とあわせて未達成であった.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は,効率的に情報・コンテンツ配信を実現する場合と,ロボティクス機器制御の場合とのシステムアーキテクチャのもとでの事例研究の体系的な整理を中心に,昨年度未達成であった事項を推進すべく,現在までの研究のまとめを行う.特に(1)間欠通信の際に,ロボティクス機器の遠隔制御が被る影響の評価方法,(2)間欠通信が発生する環境の体系的分類と,その状況に応じた対策の事例研究と効果の検証を行う. そしてそれらの成果を利用することでQuality of Controlの概念の一般化とその重要性についての社会への展開を目指す.そして,今までの検討結果の学会などでの報告とその成果の論文化を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
補助事業の目的をより精緻に達成するための研究の実施として,追加の評価実験と体系化のための調査実施を行う必要が生じたため.今後は追加の実験の実施を行うとともに,学会での発表を通じてフィードバックをいただき,成果をまとめて論文化する.
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