研究課題/領域番号 |
18K11280
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
小川 猛志 東京電機大学, システムデザイン工学部, 教授 (30750088)
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研究分担者 |
宮保 憲治 東京電機大学, システムデザイン工学部, 教授 (10366396) [辞退]
冬爪 成人 東京電機大学, システムデザイン工学部, 講師 (30328520)
松井 加奈絵 東京電機大学, システムデザイン工学部, 准教授 (30742241)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 動画配信 / P2P / 電子透かし / ブロックチェーン / スマートコントラクト |
研究実績の概要 |
提案技術により,同一の動画ファイルをp2p通信で共有しつつ再生時には端末毎のユニークな不可視電子透かし情報が再現できる.端末による透かし情報の再エンコードは不要でありSafariやchromeなどのブラウザのみで視聴可能である.本技術により,再生画面をキャプチャされても流出元を特定できるため,既存のサーバ型動画配信システムと同等な著作権管理を, P2P型でより極めて低コストで実現可能になる.科研費申請前に国際会議で発表した手法では,SDN技術により動画断片ファイル(チャンク)の交換を制御することで提案技術を実現できることを確認しているが,一般的なIPネットワークには適用できない制限があった.このため2018年度は既存のHLSプロトコルの使用方法を拡張しチャンク転送元を制御する手法を整理し学会発表を行った.ただし,本手法では端末間にNAPTが存在するインターネット環境ではチャンクの転送が困難であることが分かった.そこで,2019年度からは,チャンク転送はNAPTを可能なWebRTC技術により実施し,転送後のチャンクの再生をHLSで実施することで,上記問題点を解決することを目指し検討を進めている.2019年度末には,各端末が安定してインターネットに接続している環境下で提案技術を実現できる事を確認した.2020年度は実装を追加し,WebRTCによるチャンク収集中に並行して動画再生をできる機能と,動画視聴中に送信元端末がネットワークから離脱しても動画再生を乱れなく継続できる機能を追加し,期待通り動作することを確認した.またライブ等のストリーム配信への応用検討を開始した.さらに,チャンク配布を集中サーバが制御するのではなく,ブロックチェーン技術(スマートコントラクト)を応用して視聴端末間の分散制御により実現することで,集中サーバによる不正も防止することを目標とした検討を開始した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度からプロトタイプ開発を外部に発注せず研究室での内製を目指したが,ベースとした既存ソフトウェアの解析に予定よりも時間を要した. 2020年度はコロナ感染予防のため,研究室に集合して開発仕様の整理や実機検証を進める時間を十分に確保することができず,一部機能の実装が間に合わなかった.以上の理由により当初予定よりやや遅れている. ただし,当初の予定にはなかったが,ブロックチェーン技術の応用に向けて,トランザクション処理性能を向上させる技術を創出し電子情報通信学会論文誌などに採録されたため,その点では予定以上の進捗を実現できている.
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今後の研究の推進方策 |
ライブなどのストリーム配信への応用を進める.また,チャンクの配布を集中サーバが制御するのではなく,ブロックチェーン技術(スマートコントラクト)を応用して視聴端末間の分散制御により実現する方法の検討を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度までの当初予定の完了が,既存ソフトウェアの解析の遅れと,コロナ感染予防対策のため遅れている.一方で,当初予定以上の成果として,ライブ配信への応用や,ブロックチェーン技術の応用により更にセキュリティを向上できる可能性が見えている. そこで,2021年度は一部ソフトウェアの開発は外部ソフトウェア会社に委託することで,本研究課題遂行を加速し,2021年度末までに上記を達成する. (外部ソフトウェア会社への委託80万円,試験環境構築26万円,学会発表20万円,合計126万円(概算))
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