研究課題/領域番号 |
18K11281
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研究機関 | 神奈川工科大学 |
研究代表者 |
塩川 茂樹 神奈川工科大学, 情報学部, 教授 (30303689)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 無線マルチホップネットワーク / 無線センサネットワーク / 情報指向型ネットワーク / 送信電力制御 / オーバヒアリング |
研究実績の概要 |
2019年度は,研究実施計画に記載の,①「モバイルエージェントの効果的な運用手法の開発」,②「ネットワークの状況を考慮した送信電力制御および通信機能停止制御」,③「送信電力制御および通信機能停止制御を考慮した経路構築手法」のうち,②および③についてそれぞれ具体的な手法を提案した. ②では,継続的なネットワーク構成を維持する必要のない耐遅延無線センサネットワークにおいて,送受信を行う2台の端末の位置情報および移動状況から,これらの端末が最接近するタイミングを推定し,適切な送信タイミングを決定する手法を提案した.さらに,送信時における送信対象との距離も推定することで送信電力を動的に制御する手法も提案した.本手法により,従来方式と比較して,データ到達率やデータ到達遅延の性能を劣化させずにネットワークの電力消費を削減できることを示した. ③では情報指向型無線マルチホップネットワークに焦点をあて,シンクと呼ばれる情報集約機器が存在するネットワークおよびシンクが存在しないネットワークの両方に対して新たな手法を提案した.まずシンクが存在しないネットワークにおいて,シンクまでの情報転送経路を,階層クラスタリングおよび送信電力制御を用いて構築する手法を提案した.この手法により情報集約効率を維持しながら消費電力削減できることを示した.次にシンクが存在しないネットワークにおいて,同一の情報を提供する端末を2台選択し,マルチパス送信させる手法を提案した.そして,従来の1台の端末による情報提供方式と比べ,情報収集率,情報収集遅延,消費電力ともに優れた性能を示すことができた.さらにこの手法を発展させ,近隣端末による送信信号のオーバヒアリングを利用して情報蓄積効率を向上させる手法を提案し,情報収集遅延と消費電力性能をさらに改善できることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
②「ネットワークの状況を考慮した送信電力制御および通信機能停止制御」に関連する研究については国際会議1件の成果を挙げている.,③「送信電力制御および通信機能停止制御を考慮した経路構築手法」については,研究会発表1件,国際会議2件の研究成果を挙げている.また,③については学術論文誌に2件の成果を投稿中である.
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今後の研究の推進方策 |
研究実施計画に記載の3つの研究テーマ①「モバイルエージェントの効果的な運用手法の開発」,②「ネットワークの状況を考慮した送信電力制御および通信機能停止制御」,③「送信電力制御および通信機能停止制御を考慮した経路構築手法」のうち,①についてはこれまでの研究で想定していた成果が得られた.従って,2020年度においては②と③に関して引き続き研究を進め,さらに洗練された手法をについて検討を行う. 特に,新型コロナウイルスの影響でオンラインのコンテンツ配信に関する需要が激増する環境下において,本研究課題も対象としている情報指向型ネットワークの果たす役割が大きくなると考えられるため,特に積極的に検討する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初年度末の参加を予定していた国際会議が新型コロナウイルスの影響で現地開催中止(原稿の公表のみで成立)となり,旅費を支出しなくなっため.次年度の予算と合算して,論文誌投稿や学会発表に充てる予定である.
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